肩を手術したら、もうゴルフは無理ですか 〜208人が答えた「戻れた割合」と、戻る順番〜
「先生、私はもうゴルフはできませんか」 肩の手術を前にした方が、いちばん聞きたくて、いちばん聞きづらいのが、この質問ではないでしょうか。痛みは取りたい。でも、ゴルフをあきらめるくらいなら我慢する。そう考えて手術に踏み切れずにいる方は、決して少なくないと思います。 この質問には、実はもう答えが出ています。2026年に、肩の人工関節の手術を受けたゴルファー208人を調べた研究が出ました。 この記事のポイント ✅ 肩の人工関節の手術を受けたゴルファー208人のうち、88.9%がゴルフに戻っていました。そのうち約8割は、手術前と同じかそれ以上のレベルです ✅ 戻る順番には決まった形があります。パター → アプローチ → ドライバー。全部そろうまで、だいたい半年から1年です ✅ ただし、学会が決めた復帰の目安は、まだ世界のどこにもありません。だから最終的な判断は、あなたを手術した先生にしかできません 手術ではなく、いまの肩の痛みをどうするかについては、こちらにまとめています。 👉 ゴルフで肩が痛い方へ 目次 208人のうち、185人が戻っていた 正直に書いておきたい、この数字の限界 戻る順番は、パター → アプローチ → ドライバー 人工関節には2つの種類があります 腱板を縫った場合はどうなるか いちばん戻りにくいのは「背中に手を回す動き」 学会が決めた目安は、まだありません ここからは、私の想像です 戻るときに気をつけたい5つのこと おわりに 参考にした情報 208人のうち、185人が戻っていた アメリカ肩肘外科学会(ASES)の研究グループが、17の施設から集めたデータです。 対象は、肩の人工関節の手術を受けた人のうち、ゴルフをしていると答えた208人。平均年齢は69歳、約8割が男性。手術から平均で2年ほど経った時点で調べています。 結果はこうでした。 人数 割合 ゴルフに戻れた 185人 88.9% そのうち、手術前と同じかそれ以上のレベル 165人 79.3% さらに、いつ戻れたかも分かっています。 3〜6か月で戻った人……46.8% 7〜12か月で戻った人……31.7% つまり、8割近くの人が1年以内に戻っているということです。 あなた 思っていたよりずっと多いです。半分くらいかと思っていました。 Torapon 私も最初にこの数字を見たとき、同じことを思いました。肩の人工関節は「痛みを取る手術」で、動きは戻りきらないものという印象が、医療者のあいだにも根強くあるんです。 ただし、あとで書きますが、この88.9%という数字には読み方のコツがあります。そこも正直にお伝えしますね。 正直に書いておきたい、この数字の限界 先に書いておきます。この88.9%を、そのまま自分に当てはめないでください。 理由は2つあります。 ひとつめ。これはアンケートの研究です。 何人に配って何人が答えたのか、公開されている情報からは分かりません。一般に、こういうアンケートではうまくいった人のほうが答えてくれやすいことが知られています。実際、あとで紹介する腱板の研究では、633人に配って答えたのは197人だけでした。 ですから正確に言えば、「答えてくれた208人のなかでは、88.9%が戻っていた」となります。 ふたつめ。もともとゴルフをしていた人だけの数字です。 肩を手術した人みんなの話ではありません。手術の前からゴルフを続けていて、戻りたいと思っていた人たちが対象です。「戻りたい人が、どのくらい戻れるか」の目安、と考えてください。 それでも私は、この数字には意味があると思っています。「手術したら終わり」ではないことを、17施設・208人という規模ではっきり示したからです。 戻る順番は、パター → アプローチ → ドライバー もうひとつ、実際に役に立つ研究があります。アメリカ・オレゴンの施設で、肩の手術を受けたゴルファー71人を調べたものです。 ...