椅子を使って下半身のトレーニングをするゴルファーのイラスト

地面の力を受け止める下半身づくり 〜地面反力で飛距離アップの科学(第3回・体づくり編)〜

「踏む感覚はつかめてきた。もっと地面の力を使いたい」 そんな方にこそ大切なお話で、シリーズを締めくくります。 第1回・理論編 では「なぜ地面を押すと飛ぶのか」を、第2回・実践編 では「体重計とクラブ1本でできる、踏む感覚のドリル3つ」をお話ししました。 最終回のテーマは 体づくり編。地面反力は、出した分だけ 自分の体に返ってくる力 でもあります。その大きな力を受け止めるのは、足首・膝・股関節。ここを整えることが、飛距離アップとケガ予防の両方につながります。 この記事のポイント ✅ 地面の力を活かすカギは 足首・股関節・お尻 の3か所 ✅ 3つの運動はすべて自宅で、椅子や壁を使って安全に できます ✅ 膝や腰の痛みは体からのサイン。受け止める体づくりこそ、ケガ予防 です なぜ「下半身づくり」がセットなの? あなた ドリルで踏む感覚はわかってきました。それでもまだ、何か必要ですか? Torapon 地面反力は、押した分だけ 体に返ってくる力 でもあるんです。体重の1.5倍もの力を受け止めるのは、足首・膝・股関節。ここが硬いまま・弱いままだと、飛距離より先に 痛みが出てしまう ことがあるんですよ。 たとえるなら、地面反力は 強力なバネ のようなもの。バネを強く縮めるほど大きな力が返ってきますが、受け止める側の土台がぐらついていては、力は逃げてしまいますし、関節にしわ寄せがいきます。 そこで今回は、「地面の力を受け止める3か所」 を、自宅で安全に育てる運動を1つずつご紹介します。どれも道具は椅子と壁だけです。 トレ1:足首のバネを育てる「かかと上げ」 まずは、地面にいちばん近い 足首 からです。 壁や椅子の背もたれに、軽く手を添えて立つ ゆっくり3秒かけて かかとを上げ、つま先立ちになる ゆっくり3秒かけて かかとを下ろす ふくらはぎと足首は、地面を押すときの「最後のひと押し」を担当する場所。ここがしっかりすると、踏み込みが安定するだけでなく、つまずき・転倒の予防 にもなる、シニア世代にうれしい運動です。 回数の目安:10回×2セット(ふらつく方は、必ず手を添えたまま行ってください) トレ2:お尻と股関節をつくる「椅子スクワット」 次は、沈み込みの土台となる お尻と股関節 です。 椅子の前に、座るときと同じ向きで立つ お尻を後ろに引きながら、ゆっくり腰を下ろしていく お尻が座面に 軽く触れたら、立ち上がる あなた スクワットは膝を痛めそうで、ちょっと心配なのですが……。 Torapon 椅子を使えば安全ですよ。深さは競わなくてOK。コツはひとつ、「膝を曲げる」ではなく「お尻を後ろに引く」——この意識だけで、膝への負担はグッと減ります。 第2回の「沈み込み素振り」で使った、あの沈む動きの正体は、まさにこの 股関節の曲げ伸ばし です。股関節まわりが硬い方は、こちらのストレッチも合わせてどうぞ。 👉 ゴルフで腰が痛くなる人へ(股関節ストレッチ) 回数の目安:8〜10回×2セット(膝に痛みが出たら、その日は中止します) トレ3:受け止める練習「片脚立ち」 仕上げは、踏み込んだ足で 地面の力をぐらつかずに受け止める 練習です。 壁のそばに立ち、片方の足を軽く床から浮かせる そのまま 30秒 キープ(左右それぞれ) 慣れてきたら、立ったまま顔だけ左右にゆっくり動かしてみる あなた ずいぶん地味ですね……。本当に飛距離に関係あるんですか? ...

July 10, 2026 · 1 分
下半身の踏み込みを強調したダウンスイングのゴルファーのイラスト

股関節は、もう限界まで使われている 〜ゴルフに必要な可動域と筋力(第2回・下肢編)〜

第1回・体幹編 では、「腰はほとんど回らない。回っているのは背中と股関節」というお話をしました。 今回はその 股関節 と、その下のひざ・足首を見ていきます。そして、いきなり衝撃的なデータから始めます。 スイング中、左の股関節は「持っている可動域を100%以上」使い切っています。 この記事のポイント ✅ ダウンスイングで、リード側(右打ちの左)の股関節は 使える可動域の84〜131% を使っています。余力がゼロの状態です ✅ ひざへの負担を左右していたのは、体の柔らかさではなく 足の幅と、切り返しで肩が流れるかどうか でした。つまり 構え方を変えるだけで、今日から負担を減らせます ✅ ヘッドスピードといちばん関係が強いのは ジャンプの力の出し方。重い重量より「素早く床を押す」ほうがゴルフ向きです 中高年ゴルファーの、ひざと股関節の実情 まず現状から。男性ゴルファー1,170名(平均55歳)の調査で、この1週間に不調のあった場所は—— 腰 37.3% 左ひざ 13.3%/右ひざ 11.0% 右股関節 9.7%/左股関節 8.5% 腰に次いで多いのが、ひざと股関節です。しかも 左ひざが右ひざより多い 。ここに、ゴルフという競技の特徴がはっきり出ています。 股関節は、左右でまったく違う仕事をしている 女子大学ゴルファー15名のスイングを、可動域の実測値と照らし合わせて分析した研究があります(米国の理学療法専門誌, 2010年)。「その人が持っている可動域のうち、スイング中に何%を使っているか」を計算したものです。 結果はこうでした(右打ちの場合)。 バックスイング ダウンスイング 右(トレイル側)の股関節 内側にひねる力の20〜25%だけ使用 外側にひねる力の34〜37%だけ使用 左(リード側)の股関節 外側にひねる力の50〜75%を使用 内側にひねる力の84〜131%を使用 右の股関節はまだ余裕たっぷり。ところが 左の股関節は、持っているものを使い切って、さらに超えている のです。 あなた 100%を超えるって、どういうことですか? Torapon 落ち着いて寝た状態で測った可動域より、スイングという勢いのある動きのなかでは、もっと深く回っている ということです。つまり、左の股関節には余力がない。ここが硬い人は、足りない分をどこかで補うしかありません。その「どこか」が、たいてい腰なんです。 腰が痛い人は、左の股関節が約10度回らない これも実際に測られています。 アマチュアゴルファー64名を、腰痛の経験がある28名 と ない36名 に分け、年齢・身長・ゴルフ歴・ラウンド数までそろえて比較した研究です(英国の理学療法スポーツ誌, 2009年)。 左(リード側)の股関節を内側にひねる可動域 腰痛のある人:21.1度 腰痛のない人:31.1度 その差、およそ10度。 右側の股関節や、外へひねる動きには差がありませんでした。 ここで大事なことを付け加えます。この研究の著者自身が「因果関係は示せていない」とはっきり書いています。 さらに、ケガのないエリートゴルファー41名を6か月追いかけた別の研究では、股関節の左右差から腰痛の発生を予測することはできませんでした(南アフリカの理学療法誌, 2023年)。 あなた つまり、股関節が硬いから腰が痛くなる、とは言い切れないんですね。 ...

August 9, 2026 · 2 分