ゴルフのスイングで肘に手を当てる人のイラスト

ゴルフで肘が痛い人へ 〜「ゴルフ肘」のセルフケアと予防〜

「ラウンドの後半になると、肘の内側がズキッと痛む」 「アドレスでグリップを握っただけで、肘に違和感がある」 そんな悩み、ありませんか? ゴルフを楽しむ方の中には、肘の内側にこうした痛みが出てしまう人がいます。これが「ゴルフ肘」です。 気づかずに続けてしまうと、好きなゴルフを思うように楽しめなくなることもあります。 今回は理学療法士の立場から、ゴルフ肘がなぜ起こるのか、そして自分でできるケアと予防のコツを、やさしくご紹介します。 この記事のポイント ✅ ゴルフ肘の多くは、肘の「内側」に起こります ✅ 原因は、手首や指を使いすぎることによる「腱(けん)」への負担です ✅ 痛みが出たら「休む・冷やす」、落ち着いたら「ほぐす・鍛える」が基本です そもそも「ゴルフ肘」って何? あなた 肘の痛みって、ぜんぶ同じ「ゴルフ肘」なんですか? Torapon 実は、痛む場所によって呼び名も原因もちがうんです。ポイントは 「内側」か「外側」か。順番に見ていきましょう。 「ゴルフ肘」は、正式には上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)といいます。 肘の内側の出っぱった骨のあたりに、痛みや押したときの圧痛が出るのが特徴です。 ここには、手首を内側に曲げたり、指を握ったりする筋肉の「腱」が集まっています。 スイングでインパクトの衝撃が繰り返し加わったり、グリップを強く握りすぎたりすると、この腱に小さな負担が積み重なって、炎症が起きてしまうのです。 ちなみに、肘の外側が痛む場合は「テニス肘」と呼ばれ、原因の筋肉が異なります。痛む場所をまず確かめてみましょう。 ゴルフ肘になりやすい人の特徴 あなた 私、グリップを強く握るクセがあるんですが……関係ありますか? Torapon それ、じつは肘への負担が大きくなるサインかもしれません。当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。 体の使い方という視点で見ると、次のような方は肘に負担がかかりやすいと考えられます。 グリップを必要以上に強く握っている 手打ち(腕の力だけで振る)になっていて、体の回転が使えていない ラウンドや練習の前後でストレッチをしていない 急に練習量を増やした、マットから何百球も打ち込んだ 加齢などで、もともと腕の柔軟性が落ちている 「飛ばそう」と力むほど、手先に余計な力が入りやすくなります。ゴルフ肘は、がんばり屋さんほどなりやすいのです。 痛みが出たときの対処:まずは「休む・冷やす」 あなた 少しくらい痛くても、打って慣らしたほうがいいんでしょうか? Torapon 逆なんです。痛みが出ているときは 「休む・冷やす」が先。理由をお話ししますね。 痛みがはっきり出ているときは、無理に振り続けないことが一番大切です。 休む:痛みが強いうちは練習を控え、肘を使う動作を減らす 冷やす:熱っぽさやズキズキ感があるときは、保冷剤などをタオルで包んで10〜15分冷やす 守る:日常で重い物を持つときは、横から強く握りすぎず、手のひらを上に向けて肘を守る 「少し休めば治るだろう」と打ち続けると、かえって長引いてしまいます。痛みは体からのサインです。まずは耳を傾けてあげましょう。 痛みが落ち着いたら:「ほぐす・伸ばす」セルフケア ズキズキした痛みが引いてきたら、固くなった前腕(肘から手首までの筋肉)をやさしく伸ばしていきます。 痛みのない範囲で、気持ちいいと感じるくらいの強さで行うのがコツです。 ① 前腕の内側ストレッチ 伸ばすほうの腕を前にまっすぐ出し、手のひらを上に向けます 反対の手で指先をつかみ、手の甲側(下方向)にゆっくり反らせます 前腕の内側が伸びるのを感じながら、20〜30秒キープ 左右それぞれ2〜3回 ② 手首をやさしく回す 手首をゆっくり大きく回して、こわばりをほぐします。痛みが出ない範囲で、10回ほど。 これらは、ラウンドや練習の前のウォームアップとしても効果的です。 再発を防ぐ3つのコツ あなた 痛みが引いたら、また前と同じように練習して大丈夫ですか? Torapon 戻る前に、「繰り返さない体づくり」を3つだけ。これで再発の心配がぐっと減りますよ。 痛みが落ち着いたら、次は「繰り返さない体づくり」です。 グリップをゆるめに握る … 「小鳥を包むくらい」とよく言われます。力みは肘の大敵です 体の回転で振る … 腕だけでなく、お腹や背中の大きな筋肉を使うと、手先の負担が減ります 練習量を一気に増やさない … 「昨日より少しだけ」を積み重ねるほうが、体は強くなります サポーター(エルボーバンド)で腱への負担を和らげるのも、ひとつの方法です。痛みが出やすい時期の練習や、ラウンドのお守りとして使う方も多くいらっしゃいます。 ...

June 26, 2026 · 1 分
フォロースルーで左肩と左手首に負担がかかる様子を描いたゴルファーのイラスト

傷むのは、いつも「左」だった 〜ゴルフに必要な可動域と筋力(第3回・上肢編)〜

ヨーロピアンツアーの選手128名に、手首の障害について聞いた調査があります(英国スポーツ医学誌, 2013年)。30%が手首を痛めていました。 そして、その内訳がこうでした。 小指側の障害の87%、親指側の障害の100%が、リード側(右打ちなら左)の手首。 シリーズ最終回は上肢編。肩・ひじ・手首を見ていきます。テーマは 「なぜ左ばかり傷むのか」 、そして 「体を変えずに助かる方法はあるのか」 です。 この記事のポイント ✅ ゴルフのケガは リード側(右打ちなら左)に集中 します。肩の痛みの66%、手首の障害の大半が左側です ✅ ネットでよく見る「ゴルファーの肩は内側に回りにくくなる」という説は、実測では確認されませんでした ✅ グリップやシャフトを替えるだけで、前腕の筋肉の働きが下がる という研究があります。体を変えなくても、負担は減らせます リード側に、ケガが集まる 第1回 で腰、第2回 で股関節とひざを見てきました。そこでも「左が多い」という話が出てきましたが、上半身ではそれがもっとはっきりします。 理由はシンプルで、右打ちのスイングでは、左腕がクラブを引っぱり、インパクトの衝撃を最初に受け止める側 だからです。右腕は押す側、左腕は支える側。役割がまったく違います。 肩:左肩はスイング中、126度もひねられている 男性アマチュアゴルファーの肩の動きを立体的に測った研究があります(米国整形外科スポーツ理学療法誌, 2003年)。 バックスイングのトップ で、左肩が体の前を横切る角度(水平内転)は、最大で126度 に達していました。腕を胸の前で組む動きの、はるかに深いところまで持っていかれているということです。 トップで左腕が胸を横切る、あの形です。左肩が、可動域のぎりぎりまで引き伸ばされる瞬間 がここにあります。 同じ研究に、中高年の方にとって大事なデータがあります。18〜24歳のグループと、50〜86歳のグループの比較 です。 高齢グループは、肩を上げる動きを 約15%少なく しか使っていない 肩を外へひねる動きを 約30%少なく しか使っていない トップでの右肩の外ひねりは、シニアのほうが38度も少ない あなた 38度って、かなり大きい差ですね。トップが浅くなるのは、そのせいですか。 Torapon かなり関係していると思います。ただ これは横断研究——若い人と年配の人を「比べた」だけ で、同じ人を追いかけたわけではありません。「年をとると必ずこうなる」とまでは言えません。それに第1回でお話ししたとおり、トップが浅いこと自体は、飛距離とは直結していません 。がっかりしなくて大丈夫です。 ネットでよく見る「肩の内旋制限」は、見つかりませんでした 野球のピッチャーには、投げる側の肩が内側に回りにくくなる現象(GIRD)が知られています。これをゴルフに当てはめた記事をよく見かけますが—— エリート男性ゴルファー24名の肩を実際に測った研究では、左肩と右肩で、外ひねり・内ひねり・合計のどれにも差がありませんでした(米国の理学療法専門誌, 2008年)。 左肩 右肩 外へひねる 90.3度 91.0度 内へひねる 51.8度 50.1度 合計 142.1度 141.2度 きれいなくらい、差がありません。著者は「24名の予備的な研究であり、年齢などの要因が影響を隠している可能性もある」と慎重に書いていますが、少なくとも「ゴルファーの肩は野球の投手と同じように変形する」という話には、根拠が乏しい ということです。 練習しすぎると、左肩の腱板が傷む 一方で、中高年アマチュアにとって見過ごせないデータもあります。 ...

August 10, 2026 · 2 分