ゴルフ場で腰に手を当てる人のイラスト

ゴルフで腰が痛くなる人へ 〜ラウンド前にやさしくほぐす「股関節ストレッチ」3つ〜

「ラウンドの終盤になると、腰が重だるくなる」 「スイングのたびに、腰のあたりが気になる」 ゴルフを楽しむ方の中には、こうした腰の不調を感じる人がいます。 腰はスイングのたびに大きくひねられる場所。 だからこそ、ちょっとした準備とケアで、ぐっとラクになりやすいところでもあります。 今回は理学療法士の立場から、ゴルフで腰に負担がかかる理由と、ラウンド前にやさしくできる「股関節ストレッチ」を3つご紹介します。 この記事のポイント ✅ 腰の負担は、実は「股関節の硬さ」が関係していることが多いです ✅ 股関節がやわらかいと、腰の代わりに動いてくれて負担が減ります ✅ ラウンド前の軽いストレッチで、腰を守りやすくなります なぜゴルフで腰が痛くなりやすいの? あなた ラウンド後半の腰の重だるさ、年のせいだとあきらめてました…… Torapon 年齢だけが原因ではないんです。実は股関節の硬さが、腰に無理をさせていることが多いんですよ。まずは仕組みから見ていきましょう。 ゴルフのスイングは、体を勢いよく「ねじる」動作の連続です。 このとき、本来は股関節や背骨全体が分担して回るのが理想です。 ところが、股関節がかたくて十分に回らないと、足りない分を腰が無理にカバーしようとします。 この「腰だけで頑張る」状態が繰り返されると、腰まわりに負担がたまりやすくなるのです。 つまり、腰の不調を防ぐカギは、腰そのものよりも股関節をやわらかく保つことにあります。 腰に負担がかかりやすい体の使い方 あなた 自分が腰に負担をかけやすいタイプかどうか、どうすればわかりますか? Torapon チェックポイントがあります。あぐらがかきにくい、ふだん座っている時間が長い——思い当たる方は要注意なんです。 体の使い方という視点で見ると、次のような方は腰に負担がたまりやすいと考えられます。 股関節がかたい(あぐらがかきにくい、しゃがみにくい) スイングで腰から先にひねってしまう お腹まわりの体幹の支えが弱い ラウンド前に体を温めず、いきなり振り始める デスクワークなどで、ふだんから座っている時間が長い 「飛ばそう」と力いっぱいひねるほど、腰には負担が集中しがちです。 大切なのは、体全体をバランスよく使えるよう、先に体を整えておくことです。 ラウンド前の股関節ストレッチ3つ あなた スタート前って、あまり時間がなくて……。何をやればいいですか? Torapon 数分でできる3つだけで大丈夫です。反動をつけず、息を止めない——これだけ守って、ゆっくり伸ばしてみましょう。 ティーグラウンドに立つ前に、痛みのない範囲でやさしく行いましょう。 反動をつけず、息を止めずに、ゆっくり伸ばすのがコツです。 ① お尻のストレッチ(カート利用でもOK) イスやカートに浅く腰かけます 片方の足首を、反対のひざの上に「4の字」になるように乗せます 背すじを伸ばしたまま、上半身を軽く前に倒します お尻の奥が伸びるのを感じながら 20〜30秒キープ。左右2回ずつ ② もも前〜股関節の前側(腸腰筋)のストレッチ 片足を一歩大きく前に踏み出し、軽く腰を落とします 後ろ足のもものつけ根(股関節の前)が伸びるのを感じます 背すじは立てたまま 20〜30秒キープ。左右1〜2回ずつ ぐらつくときは、カートやクラブに手を添えて ③ 立ったまま体幹の回旋(ねじりの準備運動) 足を肩幅に開いて立ちます 胸の前で腕を組み、下半身は止めたまま上半身だけをゆっくり左右にひねります 反動をつけず、気持ちいい範囲で10回ほど ①②で股関節をほぐし、③で「ねじる動き」に体を慣らす——この順番がおすすめです。 痛みが出たときは無理をしない あなた ちょっと腰が痛いくらいなら、ストレッチで伸ばしたほうがいいですよね? Torapon そこは注意が必要なんです。痛みがあるときに無理に伸ばすと、かえって長引くことがあります。まずは休ませてあげるのが基本ですよ。 ...

June 26, 2026 · 1 分
背中を大きくひねってバックスイングするゴルファーのイラスト

回すのは腰ではなかった 〜ゴルフに必要な可動域と筋力(第1回・体幹編)〜

「もっと腰を回して」 練習場でも、レッスン動画でも、たぶん一度は聞いたことのある言葉だと思います。ところが体のつくりを調べていくと、この言葉は最初からかなり無理を言っている ことが分かります。 腰は、そもそもほとんど回らない関節だからです。 今回から3回にわたって、ゴルフに必要な「関節の動く範囲(可動域)」と「筋力」 を、体の場所ごとに見ていきます。第1回は体幹——首・背中・腰の3つです。 この記事のポイント ✅ 体を45度ひねっても、腰の骨の関節ひとつあたりは1〜2度しか回っていません。回っているのは背中(胸椎)と股関節です ✅ 意外なことに、体の柔らかさとヘッドスピードには関係が見つかっていません(20の研究をまとめた解析)。可動域は飛距離のためではなく、腰を守るため に必要なものです ✅ 年齢とともに落ちるのは「ひねり」ではなく 「反る動き」。だから中高年の方には、胸を反らせる運動から始めるのが理にかなっています 腰が痛い人は、こんなに多い まず現実から。男性ゴルファー1,170名(平均55歳)に「この1週間で不調のある場所」を聞いた調査では、腰が37.3% と断トツの1位でした。2位の左ひざ13.3%の、およそ3倍です。 さらに、アマチュアゴルファー910名を5か月間追いかけた調査では、腰まわりのケガは 1年に1人あたり1.26回 の割合で起きていました。そして、そのせいでゴルフを休むことになった日数も、体のほかのどの場所より長く なっていました。腰は、いちばん痛めやすくて、いちばん長くコースから遠ざかる場所ということです。 あなた やっぱり腰なんですね……。私も、ラウンドの翌日はいつも腰が重いです。 Torapon ゴルファーの体でいちばん弱点になりやすいのが腰です。ただ、腰そのものを鍛えても、あまり解決しない んですよ。理由は、この次にお話しします。 腰は「回らない」のが正解 ここが今日のいちばんお伝えしたいところです。 MRIを使って、体を45度ひねったときに背骨のどこがどれだけ回っているかを立体的に測った研究があります。結果は——腰の骨(腰椎)の関節ひとつあたり、たったの1.2〜1.7度 でした。 古典的なレントゲン研究でも、腰椎の関節ひとつのひねりは約2度。腰椎全体を足し合わせても、片側でせいぜい 7〜13度 しかありません。 一方で、スイングでは体を大きくひねります。その差はどこから来ているのか。答えは 背中(胸椎)と股関節 です。 あなた では「腰を回して」と言われて、腰を回そうとしていたのは……。 Torapon できないことをやろうとしていた、ということになります。腰は回すところではなく、支えるところ。回す仕事は背中と股関節の担当です。ここが入れ替わってしまうと、腰に無理がかかります。 背中が硬いと、腰が肩代わりする これは実際に測られています。 プロゴルファー30名を「股関節が20度未満しか内側に回らない人」と「30度以上回る人」に分けて比べたところ、回らない人のほうが、スイング中に腰を曲げる量・ひねる量・横に倒す量が有意に大きく なっていました(米国スポーツ医学誌, 2015年)。回るはずの場所が回らないと、腰が代わりに動いてしまうわけです。 背中側でも同じことが観察されています。腰痛のあるプロと、ないプロのスイングを比べた研究では、腰痛のあるプロは、ふだん使える体のひねりの量が少なく、その結果スイングでは「限界を超えたひねり」を強いられていた という報告があります(英国スポーツ科学誌, 2002年)。ただしこちらは各グループ6名だけの小さな研究なので、参考程度に受け取ってください。 つまり—— 背中と股関節が回る → 腰は支えるだけで済む 背中と股関節が硬い → 足りない分を腰が肩代わりする → 痛める ですから、ゴルフの腰痛でいちばん大事なのは、痛む腰そのものではなく、その上下——背中と股関節をやわらかくすること です。腰をいくらもんでも、回るべき場所が硬いままなら、次のラウンドでまた同じことが起こります。痛いところと、原因のあるところが違う。 これはリハビリの現場でも、毎日のように出会う話です。 首については、正直まだ分かっていません ここは誠実にお伝えします。 ゴルフでは、ボールを見続けながら体を回すので、首はかなり特殊な使われ方をします。首の不調を訴えるゴルファーは8.7%(前出の1,170名調査)。決して少なくありません。 ただ、スイング中に首が何度回っているかをきちんと計測した研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。ネットでよく見かける「ゴルファーの首は70度以上回るべき」といった数字も、指導団体が現場で使っている目安であって、研究で検証されたものではないようです。 あなた そういうのって、はっきり書いてもらえると逆に安心します。 Torapon 分かっていないことを「分かっている」ように書くのは、いちばんやってはいけないことだと思っています。首が回りにくい方は、無理に基準を目指すより「痛みなく振り向けるか」を目安に してください。振り向くと痛い・しびれる、という方は運動より先に受診をおすすめします。 ...

August 8, 2026 · 2 分
下半身の踏み込みを強調したダウンスイングのゴルファーのイラスト

股関節は、もう限界まで使われている 〜ゴルフに必要な可動域と筋力(第2回・下肢編)〜

第1回・体幹編 では、「腰はほとんど回らない。回っているのは背中と股関節」というお話をしました。 今回はその 股関節 と、その下のひざ・足首を見ていきます。そして、いきなり衝撃的なデータから始めます。 スイング中、左の股関節は「持っている可動域を100%以上」使い切っています。 この記事のポイント ✅ ダウンスイングで、リード側(右打ちの左)の股関節は 使える可動域の84〜131% を使っています。余力がゼロの状態です ✅ ひざへの負担を左右していたのは、体の柔らかさではなく 足の幅と、切り返しで肩が流れるかどうか でした。つまり 構え方を変えるだけで、今日から負担を減らせます ✅ ヘッドスピードといちばん関係が強いのは ジャンプの力の出し方。重い重量より「素早く床を押す」ほうがゴルフ向きです 中高年ゴルファーの、ひざと股関節の実情 まず現状から。男性ゴルファー1,170名(平均55歳)の調査で、この1週間に不調のあった場所は—— 腰 37.3% 左ひざ 13.3%/右ひざ 11.0% 右股関節 9.7%/左股関節 8.5% 腰に次いで多いのが、ひざと股関節です。しかも 左ひざが右ひざより多い 。ここに、ゴルフという競技の特徴がはっきり出ています。 股関節は、左右でまったく違う仕事をしている 女子大学ゴルファー15名のスイングを、可動域の実測値と照らし合わせて分析した研究があります(米国の理学療法専門誌, 2010年)。「その人が持っている可動域のうち、スイング中に何%を使っているか」を計算したものです。 結果はこうでした(右打ちの場合)。 バックスイング ダウンスイング 右(トレイル側)の股関節 内側にひねる力の20〜25%だけ使用 外側にひねる力の34〜37%だけ使用 左(リード側)の股関節 外側にひねる力の50〜75%を使用 内側にひねる力の84〜131%を使用 右の股関節はまだ余裕たっぷり。ところが 左の股関節は、持っているものを使い切って、さらに超えている のです。 あなた 100%を超えるって、どういうことですか? Torapon 落ち着いて寝た状態で測った可動域より、スイングという勢いのある動きのなかでは、もっと深く回っている ということです。つまり、左の股関節には余力がない。ここが硬い人は、足りない分をどこかで補うしかありません。その「どこか」が、たいてい腰なんです。 腰が痛い人は、左の股関節が約10度回らない これも実際に測られています。 アマチュアゴルファー64名を、腰痛の経験がある28名 と ない36名 に分け、年齢・身長・ゴルフ歴・ラウンド数までそろえて比較した研究です(英国の理学療法スポーツ誌, 2009年)。 左(リード側)の股関節を内側にひねる可動域 腰痛のある人:21.1度 腰痛のない人:31.1度 その差、およそ10度。 右側の股関節や、外へひねる動きには差がありませんでした。 ここで大事なことを付け加えます。この研究の著者自身が「因果関係は示せていない」とはっきり書いています。 さらに、ケガのないエリートゴルファー41名を6か月追いかけた別の研究では、股関節の左右差から腰痛の発生を予測することはできませんでした(南アフリカの理学療法誌, 2023年)。 あなた つまり、股関節が硬いから腰が痛くなる、とは言い切れないんですね。 ...

August 9, 2026 · 2 分