「理屈はわかった。で、具体的に何をすればいいの?」

前回の第1回・理論編 では、飛距離のカギは「力」より「ヘッドスピード」であること、そして「いつもより速く振る」練習で、脳と筋肉の“速さの上限”を引き上げられること(オーバースピードトレーニング)をお話ししました。

今回はいよいよ 実践編。特別な器具がなくても、手持ちのクラブ1本で今日から始められる「速振りドリル」を3つ、ご紹介します。

この記事のポイント

✅ 器具なしでもOK。クラブを「逆さに持つ」だけで、オーバースピード練習になります

✅ 目安は「1回10〜15分・週3回」。毎日やらないことも、大事なメニューのうち

✅ 始める前のウォームアップと、「痛みが出たら中止」のルールは必ず守ってください

始める前に:3つの約束

あなた あなた

待ってました! さっそく全力で振ればいいんですね?

Torapon Torapon

その意気やよし、なんですが——その前に約束を3つだけ。スピード練習は体への負担が大きいので、準備なしの全力振りがいちばん危ないんです。

ドリルに入る前に、次の3つだけ約束してください。

  1. 必ずウォームアップをしてから行う(軽い素振り・肩と股関節を回すなど、5分でOK)
  2. 痛みが出たら、その場で中止する(我慢して続けない)
  3. 最初の2週間は「全力の8割」までにとどめる(体を慣らす期間です)

体の回し方に不安がある方は、先にこちらで準備を。 👉 回旋可動域チェックと改善ストレッチ 👉 ゴルフで腰が痛くなる人へ(股関節ストレッチ)

ドリル1:クラブ逆さ持ち素振り(基本の速振り)

クラブを逆さに持って素振りをするイラスト

クラブを、ヘッド側を両手で握って逆さに持って素振りします。たったこれだけで、振る側が軽くなり、いつもより明らかに速く振れる——立派なオーバースピード練習になります。

使うクラブは ドライバーがおすすめです。いちばん長くて軽いので、逆さに持ったときにしっかり速さが出て、風切り音もわかりやすくなります(ドライバーがなければ、お手持ちのいちばん長いクラブでかまいません)。

  • ドライバーのヘッドの首元あたりを、いつものグリップと同じように両手で握る
  • グリップ側(細い方)を体の外に向けて構える
  • いつものスイングの形で、「ビュンッ」という風切り音を鳴らすつもりで振り抜く
  • 音が鳴る位置が、体の正面より左側(飛球線側)で鳴るのが理想です
あなた あなた

本当だ、軽い! でも、こんなに軽いもので練習になるんですか?

Torapon Torapon

なるんです。軽いものを全力で振ると、脳が「この速さでも大丈夫」と学習して、速さのブレーキが少しずつゆるむんですよ。まさに第1回でお話しした理屈そのものです。

回数の目安:5回×2セット(セット間は1分ほど、息が整うまでしっかり休みます。速さの練習は、疲れる前にやめるのがコツです)

ドリル2:反対向き素振り(左右バランス)

次は、いつもと反対向き(右打ちの方は左打ちの構え)で、同じく逆さ持ちのまま素振りします。

「え、反対向き?」と思われるかもしれませんが、これは本場のスピードトレーニングでも定番のメニュー。いつも同じ方向ばかりひねっている体のバランスを整え、速く振るための土台を左右両方から作ってくれます。最初はぎこちなくて当たり前。フォームの美しさは気にしなくて大丈夫です。

回数の目安:5回×1〜2セット(無理のない速さから。セット間は同じく1分ほど休みます)

ドリル3:ステップ素振り(下半身の勢いを使う)

仕上げは、歩くように足を踏み込みながら振るドリルです。

  • 両足をそろえて構える
  • バックスイングしながら、左足(右打ちの場合)を一歩、目標方向へ踏み出す
  • 踏み込んだ勢いをそのまま使って、振り抜く

野球の打者が足を上げて打つのと同じで、下半身の勢いを腕とクラブに乗せる感覚が身につきます。「手だけで振らず、体全体で速く振る」——ケガをしにくい速振りのコツでもあります。

回数の目安:5回×2セット(こちらもセット間は1分ほど休みます)

1回のメニューにまとめると

あなた あなた

3つ全部やると、どのくらいの時間になりますか?

Torapon Torapon

ウォームアップ込みで 15分ほどです。そして意外に大事なのが、毎日やらないこと。速振りの後の体には回復の時間が必要なので、週3回・1日おきくらいがちょうどいいんですよ。

  • ウォームアップ(5分)
  • ドリル1:逆さ持ち素振り 5回×2セット
  • ドリル2:反対向き素振り 5回×1〜2セット
  • ドリル3:ステップ素振り 5回×2セット

これを 週3回・5〜6週間。前回もお話しした通り、短い時間でも続けることで「速さの天井」は少しずつ上がっていきます。

本格的にやるなら:専用器具という選択肢

クラブの逆さ持ちでも十分始められますが、「どうせやるなら本格的に」という方には、第1回でも触れた専用器具があります。代表格の「SuperSpeed(スーパースピード)」は、重さの違う3本の棒を軽い順に振り分けることで、段階的に速さを引き出す設計。ツアープロも多く採用している定番です。

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SuperSpeed Golf トレーニングシステム(メンズ3本セット)

軽い・普通・重いの3本を振り分ける、オーバースピードトレーニングの定番セット。今回のドリルに慣れて「もう一段上へ」という方に。

まずは今日ご紹介した器具なしドリルで体を慣らしてから、ステップアップとして検討するのがおすすめです。

スイングも一緒に見直すと、効果は倍増

速く振れる体になっても、振り方そのものにブレーキのクセがあると、せっかくのスピードがボールに伝わりません。ドリルと並行して一度プロにスイングを見てもらうと、伸びしろがはっきりします。

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おわりに

スピードトレーニングは、特別な器具がなくても、クラブ1本と15分で始められます。大切なのは、ウォームアップと「痛みが出たら中止」のルール、そして焦らず週3回を続けること。

次回はシリーズ最終回、第3回・体づくり編。速く振ってもケガをしないための「準備とリカバリー」を、理学療法士の本領でじっくりお話しします。どうぞお楽しみに。


※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。トレーニングの効果には個人差があります。持病のある方や、痛み・不調が続く場合は、自己判断せず医師・専門家にご相談ください。