「寒い朝の1番ホールは、体が重くて振れない」
そんな経験はありませんか。気のせいではなく、体の中でも変化が起きていそうです。
この記事のポイント
✅ 筋肉の温度が上がると、素早く力を出す力(パワー)は高まりました。一方、最大の筋力は変わりませんでした(33の研究・921人のまとめ)
✅ 待ち時間で体が冷えると動きが落ちるため、保温したら15m走が速くなったという研究があります(サッカー選手14人)
✅ ただし、寒さとゴルフを直接調べた研究は、私が探した範囲では見つかりませんでした。他の競技の研究から考えた話です
目次
冷えると落ちるのは「素早さ」
筋肉の温度と、力の出し方を調べた33の研究をまとめた分析(921人)があります。
- 筋肉の温度が上がると、素早く力を出す力(力の立ち上がりの速さ、パワー)が高まりました。1℃あたり、平均で約3〜4%ほどです
- 一方、最大の筋力は、温度が変わってもほとんど変わりませんでした
つまり、冷えた体は「力が出ない」のではなく、「素早く力を出す準備が、まだできていない」状態に近いようです。ゴルフのスイングは、まさに素早さの勝負です。

じゃあ、動いて温めるのと、カイロなどで外から温めるのは、どちらがいいんですか?
この分析では、動いて温めても、外から温めても、はっきりした差は見つかりませんでした。ただ、データが少なく、「同じ」と言い切れる段階ではありません。大事なのは、どちらの方法でも温度を上げることのようです。
ラウンド中の待ち時間でも冷える
冷えるのは、朝イチだけではありません。ゴルフは、スタート前の待ち時間や、前の組を待つ時間がよくあります。
サッカーの控え選手を想定した実験があります。男性選手14人が、ウォームアップのあと45分休み、もう一度ウォームアップして15分休みました。この間、加温パンツか、ふつうのトレーニングパンツをはいて、そのあと走りやジャンプを測っています。
結果は、ふつうのパンツの日にくらべて、加温パンツの日は15m走が2℃の環境で約2.8%、18℃の環境で約2.6%よくなりました。ジャンプや繰り返しのダッシュでも改善がありました。
ただし、これは加温パンツの研究で、カイロの研究ではありません。人数も少なく、競技もサッカーです。「待ち時間に冷えると動きが落ちうる」ことを示す一例として、読んでください。
寒い日の段取り
ゴルフ選手24人に、動くウォームアップ(腕や体幹の運動と、素振り30秒)をしてもらった研究もあります。ウォームアップのあとは、動きのテスト(15種類)の合計点が上がりました。ただし、比べる群はなく、飛距離は測っていません。
寒さの直接の研究がないので、ここからは研究から考えた段取りです。
- クラブハウスや車の中で温まってから、外に出る
- スタート前に、肩・胸・股関節をよく動かす(肩回しや、軽いスクワットなど)。素振りは小さい振りから
- 待ち時間は、上着とカイロで冷やさない。 打つ直前に上着を脱ぐ

使い捨てカイロ(貼らないタイプ)
スタート前や待ち時間に、ポケットや腰まわりに入れておくと、体を冷やしにくくなります。肌に直接当てず、衣類の上から使うと低温やけどの心配が減ります。
保温インナー(ゴルフ向け・秋冬用)
薄手で伸びのあるタイプなら、スイングの邪魔になりにくいです。上着は、打つ直前に脱ぎ着しやすいものを重ねると、冷えと動きやすさの両立がしやすくなります。
ネックウォーマー(ゴルフ向け・薄手)
首元を覆うだけで、体の冷えた感じがやわらぎます。薄手で伸びるタイプなら、スイングの邪魔になりにくく、打つ直前にさっと外せます。
※ カイロは、肌に直接当てず、使用上の注意を守ってお使いください。
ウォームアップの道具は、こちらでも紹介しています。 👉 女子プロが試合前に必ずやる「準備」
おわりに
寒い朝は、体が「まだ起きていない」だけかもしれません。1番ティーの前に、少し温めて、動かしておく。待ち時間に冷やさない。それだけで、動きやすくなる可能性があります。
ゴルフでの確かめはこれからですが、寒い日の準備として、試してみる価値はありそうです。
参考にした情報
- Wilson CJ ほか「The effect of muscle warm-up on voluntary and evoked force-time parameters: A systematic review and meta-analysis with meta-regression」Journal of Sport and Health Science 2025年;14:101024
- Cowper G ほか「Passive heat intervention in cold and thermoneutral environments on simulated soccer performance in substitutes」Physiological Reports 2025年;13(4):e70189
- Skibski A ほか「Effects of a dynamic warm-up on Titleist Performance Institute screen scores in adult golfers」Journal of Sport Rehabilitation 2025年;34(4):449-455
※この記事は、公表されている研究をもとに、ゴルファー向けにやさしく言い換えたものです。持病のある方や、寒さで体調が不安な方は、無理をせず、かかりつけ医にご相談ください。