「夏のラウンドは、終わったあとの疲れがいつもの倍」 「翌日どころか、2〜3日だるさが抜けない」
そんな経験、ありませんか?
炎天下で何日も試合を戦う女子プロたちは、実は「暑さと疲れをためない道具」をとても上手に使っています。 シリーズ「女子プロの秘密道具」第3回は、夏のコンディショニング編。プロのバッグに入っているケア道具と、その裏にある体の仕組みを、理学療法士の立場からやさしく解説します。
この記事のポイント
✅ 夏の疲れは「暑さ」だけでなく、目や肌から入る紫外線も一因です
✅ 冷やすなら「太い血管が浅いところ」——首すじ・わきの下・脚の付け根です
✅ マッサージガンは便利ですが、当ててはいけない場所を知って使うのが大切です
なぜ夏のゴルフはこんなに疲れるの?
同じ18ホールなのに、夏だけどっと疲れるのはなぜなんでしょう?
暑さで汗をかくからだけではないんです。実は紫外線そのものが、体力を消耗させることがわかっています。
夏の疲れというと「汗をかいて脱水になるから」と思われがちですが、それだけではありません。
- 目から入る紫外線 … まぶしい光を浴び続けると、目の疲れだけでなく、全身のだるさにつながることがあります
- 日焼け … 日焼けは、肌が軽いやけどを起こした状態です。体はその修復にエネルギーを使うため、体力が消耗します
- 体温調節そのもの … 汗をかいて体を冷やす作業は、体にとって大仕事です
つまり夏のラウンドは、「プレーの運動量」に「暑さと紫外線への対応」が上乗せされた、二重の労働なのです。 女子プロたちがケア道具にこだわるのは、この上乗せ分をできるだけ小さくするためなんですね。
なお、めまいや頭痛など熱中症のサインと対処法は、こちらの記事で詳しくまとめています。あわせてどうぞ。 → 夏ゴルフの熱中症対策
道具① サングラス〜目を守ると疲れ方が変わる〜
多くの女子プロは、ラウンド中サングラスを手放しません。SWANSやOAKLEYといったスポーツブランドの愛用者が多く、選手ごとにこだわりのモデルがあるほどです。
これは「まぶしいから」だけではありません。目から強い紫外線が入り続けると、目の疲れやかすみだけでなく、全身の疲労感にもつながると考えられています。目を守ることは、体力を守ることでもあるのです。
選ぶときは、次の2点をチェックしてみてください。
- 紫外線カット率の高いレンズ(UVカット99%以上が目安)
- 顔にフィットして、隙間から光が入りにくい形
SWANS ER-1シリーズ 偏光サングラス(ゴルフ対応・日本製)
紫外線から目を守るスポーツ用サングラス。目に入る強い光を減らすことで、まぶしさによる集中力の低下や、ラウンド後半の疲れをやわらげてくれます。軽くてずれにくい、顔にフィットするタイプがおすすめです。
道具② 日焼け止め〜「塗る体力温存」〜
日焼け止めって、美容のためのものだと思っていました……
それが大きな誤解なんです。日焼けは肌の軽いやけど。防ぐこと自体が疲労対策なんですよ。
女子プロにとって日焼け止めは、ラウンド中も持ち歩く必携品です。 最近は、頭皮を冷やしながら紫外線から守るスカルプUVスプレーや、虫除け成分の入ったUVクリームなど、屋外スポーツ向けの高機能なものも登場しています。
日焼けした肌の修復には、体のエネルギーが使われます。しっかり塗っておくことは、見た目のためだけでなく、翌日に疲れを残さないための「体力の温存」でもあるのです。
使い方のコツは、「塗り直し」。汗で流れてしまうので、ハーフ休憩でもう一度塗るのがおすすめです。首の後ろ・耳・手の甲は塗り忘れやすいので、意識してみてください。
アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク(汗に強いウォータープルーフ)
汗をかいても落ちにくい、屋外スポーツの定番日焼け止め。日焼けによる体力の消耗をおさえることが、夏ラウンドの疲労対策につながります。ハーフ休憩での塗り直し用に、バッグに1本どうぞ。
道具③ 氷のう〜冷やす場所には「正解」がある〜
試合中の女子プロの中継を見ていると、首すじや頭に氷のうを当てている選手をよく見かけます。中には、パット練習中に氷のうを頭に乗せて、涼みながら「頭を動かさない練習」を兼ねている選手もいるのだとか。プロの工夫はおもしろいですね。
冷やすなら、どこでもいいわけではないんですか?
効率のいい場所があるんです。キーワードは**「太い血管が皮膚の近くを通っているところ」**ですよ。
体を効率よく冷やせるのは、太い血管が皮膚の浅いところを通っている場所です。
- 首すじ(左右の横側)
- わきの下
- 脚の付け根
ここを冷やすと、冷えた血液が全身をめぐり、体にこもった熱を効率よく下げられます。逆に、おでこや頬を冷やすのは「気持ちいい」効果が中心で、体温を下げる力はひかえめです。
氷のうやネッククーラーは、この「首すじ」にさっと当てられる手軽さが魅力。カートに1つしのばせておくと、ハーフの後半がずいぶん楽になりますよ。
道具④ マッサージガン〜プロの回復ルーティンの主役〜
近年、女子プロの間ですっかり定番になったのがマッサージガンです。uFit RELEASERのように医療機器認証を取得したモデルもあり、練習や試合のあとに毎日のルーティンとして使う選手が増えています。運動後の筋肉の疲れをその日のうちにケアして、翌日のパフォーマンスを保つのが目的です。
ただし理学療法士として、ここはしっかりお伝えしたいところ。マッサージガンは**「当てていい場所」と「避けるべき場所」**を知って使うことが何より大切です。
当てていいのは、筋肉のふくらんでいるところ
- 太ももの前・横、ふくらはぎ、おしり
- 肩まわり・背中の、肉づきのよい部分
避けるべき場所
- 骨の上(すね・背骨・関節のでっぱりなど)… 痛みの原因になります
- 首の前面・のどまわり … 大事な血管や神経が浅いところを通っています
- 痛み・腫れ・熱を持っているところ … 炎症を悪化させるおそれがあります
使い方は「弱い強さで、1か所30秒〜1分ほど」が目安。グーッと押しつけず、なでるように滑らせるのがコツです。「痛気持ちいい」を超える強さは、やりすぎのサインですよ。
uFit RELEASER Mini(コンパクトなマッサージガン)
運動後の筋肉に細かい振動を与えて、張りやこわばりをやさしくほぐすアイテム。女子プロも毎日のルーティンに取り入れています。骨の上や首の前面は避けて、筋肉のふくらみにやさしく当てるのが正しい使い方です。
ラウンド後の回復ルーティン〜順番が大事〜
道具はそろえたとして、帰ってから何をどの順番でやればいいですか?
いい質問です! 順番はずばり、水分 → 冷却 → 軽いストレッチ → マッサージガン。理由と一緒に覚えてくださいね。
夏のラウンド後は、次の順番でケアすると効率的です。
- まず水分と塩分 … 何よりも先に補給を。脱水したままでは、どのケアも効果が半減します
- 次に冷却 … 首すじなどを冷やして、体にこもった熱を落ち着かせます
- 軽いストレッチ … 太もも裏・ふくらはぎ・腰まわりを、痛みのない範囲でゆっくり伸ばします
- 仕上げにマッサージガン … 張りが残っている筋肉を、弱めの振動でやさしくほぐします
「体の中の水分と熱を先に整えてから、筋肉をゆるめる」——この順番がポイントです。 ストレッチの具体的なやり方は、クールダウンの記事 も参考にしてください。
こんなときは医療機関へ
セルフケアはあくまで「疲れのケア」のためのものです。次のような場合は、無理せず医療機関を受診してください。
- めまい・頭痛・吐き気など、熱中症が疑われるサインがある(詳しくはこちらの記事 へ)
- 日焼けした部分に水ぶくれができた、痛みが強い
- 数日たっても、だるさや特定の場所の痛みが引かない
- マッサージガンを使ったあとに、痛みやしびれが出た
早めに相談することが、ゴルフを長く楽しむ近道になります。
おわりに
酷暑の中で何日も戦う女子プロたちの強さは、才能や練習量だけでなく、「疲れをためない工夫」に支えられています。
目と肌を紫外線から守り、正しい場所を冷やし、正しい使い方で筋肉をケアする。 どれも今日から真似できることばかりです。道具の力を借りながら、夏のゴルフを元気に楽しんでくださいね。
シリーズ「女子プロの秘密道具」
- 第1回 = ウォーミングアップ編
- 第2回 = スイング&パター編
- 第3回(今回) = 夏のコンディショニング編
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。体調に不安がある方や持病をお持ちの方は、事前に医師にご相談ください。また、熱中症が疑われる症状が出た場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。