夏のゴルフ場で水分補給をするゴルファーのイラスト

夏ゴルフの熱中症対策 〜危険なサインの見分け方と乗り切る準備〜

「夏のラウンドは、後半になると頭がぼーっとしてスコアどころじゃない」 「同伴者が真っ赤な顔でフラフラしていて、ヒヤッとした」 そんな経験、ありませんか? ゴルフは、炎天下で4〜5時間も過ごす、実は熱中症のリスクがとても高いスポーツです。 コースは日陰が少なく、18ホールで歩く距離は6〜8kmほど。プレーに集中していると、体の異変に気づくのも遅れがちです。 今回は理学療法士の立場から、熱中症が起こる仕組みと「見逃してはいけない危険なサイン」、そして夏のラウンドを元気に乗り切るための対策を、やさしくご紹介します。 この記事のポイント ✅ 熱中症は「体にこもった熱を逃がせなくなる」ことで起こります ✅ 「まっすぐ歩けない」「受け答えがおかしい」は、ためらわず救急要請のサインです ✅ 対策のカギは、前日からの準備と「のどが渇く前」のこまめな水分・塩分補給です なぜ熱中症になるの?〜体の中で起きていること〜 あなた 若い頃から夏ゴルフは平気だったので、自分は大丈夫だと思っていました…… Torapon その油断が一番こわいんです。体の中では、気づかないうちに脱水が進んでいることがあります。まずは仕組みから見ていきましょう。 私たちの体は、運動すると熱を生み出します。 その熱を逃がす主な方法が、汗です。汗が肌の上で蒸発するときに、体の熱を奪ってくれます。 ところが夏のゴルフ場では、この仕組みがうまく働かなくなることがあります。 大量の汗で、体の水分と塩分がどんどん減っていく 水分が足りなくなると、体は汗を出しにくくなる 湿度が高い日は、汗をかいても蒸発しにくい 熱の逃げ道がなくなり、体の中に熱がこもっていく こうして体温の調節が追いつかなくなった状態が、熱中症です。 さらにゴルフには、特有の落とし穴があります。 プレーへの集中 … のどの渇きや体のだるさに気づきにくい 昼食時のビール … アルコールは尿の量を増やし、かえって脱水を進めます 我慢のしやすさ … 同伴者に気をつかって「休みたい」と言い出しにくい 「まだ大丈夫」と感じていても、体の中では脱水が進んでいることがある。これが熱中症のこわいところです。 見逃してはいけない危険なサイン あなた どこからが「休む」で、どこからが「救急車」なんでしょうか? Torapon そこが一番大事なところです。まっすぐ歩けない・受け答えがおかしいが出たら、ためらわず119番。段階ごとに整理しますね。 熱中症のサインは、軽いものから順に進んでいきます。 軽いサイン(この段階で必ず休む) めまい、立ちくらみ 足がつる(こむら返り) 汗が異常に多い、顔のほてり 要注意のサイン(プレーを中止して涼しい場所へ) 頭痛、吐き気 体のだるさ、力が入らない 危険なサイン(ためらわず119番) まっすぐ歩けない、フラフラする 呼びかけへの返事がおかしい、ぼんやりしている 自分で水が飲めない 汗が出なくなり、肌が熱く乾いている 大切なのは、危険なサインが出たら「様子を見ない」ことです。 意識や歩き方がおかしいときは、体を冷やしながら、すぐに救急車を呼んでください。 ラウンド前日からの準備 あなた 対策って、当日の朝から始めればいいんですよね? Torapon 実は前日の夜から始まっているんです。睡眠・お酒・朝ごはん——この3つで、当日の体はずいぶん変わりますよ。 夏ゴルフの勝負は、実は前日から始まっています。 しっかり眠る … 睡眠不足の体は、体温調節がにぶくなります お酒は控えめに … 前夜の深酒は、朝の時点で脱水ぎみに 朝食を抜かない … 食事は水分と塩分の大切な補給源です 暑さ指数(WBGT)を確認 … 環境省の「熱中症予防情報サイト」で当日の危険度がわかります 体調が悪い日は勇気を持ってキャンセル … 発熱ぎみ、下痢、二日酔いの日は特に危険です ラウンド中の対策 のどが渇く前に、水分と塩分を のどが渇いたと感じたときには、すでに脱水が始まっています。 目安は「1ホールごとにひと口以上」。汗をたくさんかく日は、水だけでなく塩分も一緒にとりましょう。 ...

July 2, 2026 · 1 分
ラウンド後にベンチで体を伸ばしてひと休みする人のイラスト

ラウンド翌日に疲れを残さない方へ 〜やさしいクールダウン習慣〜

「ラウンドの翌日、体が重くて動くのがつらい」 「足腰がパンパンで、疲れが何日も抜けない」 そんな経験、ありませんか? 18ホールを歩いてまわり、何度もスイングするゴルフは、思っている以上に全身を使う運動です。 楽しかったぶん、翌日にどっと疲れが出てしまう方も少なくありません。 今回は理学療法士の立場から、ラウンド後の疲れをやわらげる「クールダウン」のコツを、やさしくご紹介します。 プレー後のほんの数分の習慣で、翌日の体がぐっと軽くなりますよ。 この記事のポイント ✅ 疲れを翌日に残さないカギは、プレー後の「クールダウン」です ✅ 使った筋肉をやさしく伸ばすと、こわばりや張りがやわらぎます ✅ 水分・栄養・睡眠もあわせて整えると回復が早まります なぜラウンドの翌日に疲れが出るの? あなた 翌日どころか、2〜3日ぐったりしていることもあるんです…… Torapon それは筋肉が固まったまま一晩過ごしてしまったサインかもしれません。まずは、翌日の疲れの正体から見ていきましょう。 ラウンド中は、長い時間歩き続け、スイングのたびに足腰や背中、肩の筋肉を使います。 すると、筋肉が緊張したまま固まり、血のめぐりが悪くなって、疲労物質がたまりやすくなります。 そのまま何もせず帰ってしまうと、固まった筋肉がほぐれないまま一晩過ごすことに。 これが、翌日の「だるさ」や「張り」の正体です。 プレーの後に軽く体を動かして筋肉をゆるめておくと、血のめぐりが戻り、疲れが抜けやすくなります。 これが「クールダウン」です。 クールダウンの3つの効果 あなた 疲れているのに、さらに運動するんですか? Torapon がんばる運動ではないんです。体をゆるめるためのひと手間で、血のめぐりが戻って回復を助けてくれるんですよ。 プレー後にひと手間かけるだけで、体にはうれしい変化があります。 筋肉の張りがやわらぐ … 固まった筋肉をゆるめ、こわばりを軽くします 血のめぐりが戻る … 疲労物質が流れやすくなり、回復を助けます ケガの予防になる … 固まったままの体は、次のプレーで痛めやすくなります 「もう疲れたから早く帰りたい」という気持ちもわかりますが、たった数分のクールダウンが、翌日のあなたを助けてくれます。 ラウンド後のやさしいストレッチ3つ あなた お風呂に入って早く帰りたい派なんですが、いつやればいいですか? Torapon プレー直後、体が温かいうちがおすすめです。3つとも数分でできるので、お風呂の前にさっと済ませてしまいましょう。 どれも痛みのない、気持ちいい範囲でゆっくり行いましょう。 プレー直後、できれば体が温かいうちがおすすめです。 ① 太もも裏のストレッチ イスやベンチに浅く腰かけ、片足を前にまっすぐ伸ばします つま先を軽く上に向け、背すじを伸ばしたまま股関節から上体を前に倒します 太ももの裏が伸びるのを感じながら20〜30秒 左右それぞれ2回 よく歩いて疲れた太もも裏を、やさしくゆるめます。 ② ふくらはぎのストレッチ 壁や手押しカートに両手をつきます 片足を一歩後ろに引き、かかとを床につけたままひざを伸ばします 後ろ足のふくらはぎが伸びるのを感じながら20〜30秒 左右それぞれ2回 歩き疲れたふくらはぎをほぐすと、足の重さがやわらぎます。 ③ 腰・背中をゆるめるストレッチ あおむけになり、両ひざをかかえます 両手でひざをやさしく胸に引き寄せます 腰から背中が伸びるのを感じながら20〜30秒 2〜3回くり返します ...

June 27, 2026 · 1 分
夏のゴルフ場でサングラスと氷のうを使ってひと休みする女子プロ風ゴルファーのイラスト

夏ゴルフの疲れを翌日に残さないケア道具 〜女子プロの秘密道具(第3回・夏のコンディショニング編)〜

「夏のラウンドは、終わったあとの疲れがいつもの倍」 「翌日どころか、2〜3日だるさが抜けない」 そんな経験、ありませんか? 炎天下で何日も試合を戦う女子プロたちは、実は「暑さと疲れをためない道具」をとても上手に使っています。 シリーズ「女子プロの秘密道具」第3回は、夏のコンディショニング編。プロのバッグに入っているケア道具と、その裏にある体の仕組みを、理学療法士の立場からやさしく解説します。 この記事のポイント ✅ 夏の疲れは「暑さ」だけでなく、目や肌から入る紫外線も一因です ✅ 冷やすなら「太い血管が浅いところ」——首すじ・わきの下・脚の付け根です ✅ マッサージガンは便利ですが、当ててはいけない場所を知って使うのが大切です なぜ夏のゴルフはこんなに疲れるの? あなた 同じ18ホールなのに、夏だけどっと疲れるのはなぜなんでしょう? Torapon 暑さで汗をかくからだけではないんです。実は紫外線そのものが、体力を消耗させることがわかっています。 夏の疲れというと「汗をかいて脱水になるから」と思われがちですが、それだけではありません。 目から入る紫外線 … まぶしい光を浴び続けると、目の疲れだけでなく、全身のだるさにつながることがあります 日焼け … 日焼けは、肌が軽いやけどを起こした状態です。体はその修復にエネルギーを使うため、体力が消耗します 体温調節そのもの … 汗をかいて体を冷やす作業は、体にとって大仕事です つまり夏のラウンドは、「プレーの運動量」に「暑さと紫外線への対応」が上乗せされた、二重の労働なのです。 女子プロたちがケア道具にこだわるのは、この上乗せ分をできるだけ小さくするためなんですね。 なお、めまいや頭痛など熱中症のサインと対処法は、こちらの記事で詳しくまとめています。あわせてどうぞ。 → 夏ゴルフの熱中症対策 道具① サングラス〜目を守ると疲れ方が変わる〜 多くの女子プロは、ラウンド中サングラスを手放しません。SWANSやOAKLEYといったスポーツブランドの愛用者が多く、選手ごとにこだわりのモデルがあるほどです。 これは「まぶしいから」だけではありません。目から強い紫外線が入り続けると、目の疲れやかすみだけでなく、全身の疲労感にもつながると考えられています。目を守ることは、体力を守ることでもあるのです。 選ぶときは、次の2点をチェックしてみてください。 紫外線カット率の高いレンズ(UVカット99%以上が目安) 顔にフィットして、隙間から光が入りにくい形 PR SWANS ER-1シリーズ 偏光サングラス(ゴルフ対応・日本製) 紫外線から目を守るスポーツ用サングラス。目に入る強い光を減らすことで、まぶしさによる集中力の低下や、ラウンド後半の疲れをやわらげてくれます。軽くてずれにくい、顔にフィットするタイプがおすすめです。 Amazonで見る 楽天で見る 道具② 日焼け止め〜「塗る体力温存」〜 あなた 日焼け止めって、美容のためのものだと思っていました…… Torapon それが大きな誤解なんです。日焼けは肌の軽いやけど。防ぐこと自体が疲労対策なんですよ。 女子プロにとって日焼け止めは、ラウンド中も持ち歩く必携品です。 最近は、頭皮を冷やしながら紫外線から守るスカルプUVスプレーや、虫除け成分の入ったUVクリームなど、屋外スポーツ向けの高機能なものも登場しています。 日焼けした肌の修復には、体のエネルギーが使われます。しっかり塗っておくことは、見た目のためだけでなく、翌日に疲れを残さないための「体力の温存」でもあるのです。 使い方のコツは、「塗り直し」。汗で流れてしまうので、ハーフ休憩でもう一度塗るのがおすすめです。首の後ろ・耳・手の甲は塗り忘れやすいので、意識してみてください。 PR アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク(汗に強いウォータープルーフ) 汗をかいても落ちにくい、屋外スポーツの定番日焼け止め。日焼けによる体力の消耗をおさえることが、夏ラウンドの疲労対策につながります。ハーフ休憩での塗り直し用に、バッグに1本どうぞ。 Amazonで見る 楽天で見る 道具③ 氷のう〜冷やす場所には「正解」がある〜 試合中の女子プロの中継を見ていると、首すじや頭に氷のうを当てている選手をよく見かけます。中には、パット練習中に氷のうを頭に乗せて、涼みながら「頭を動かさない練習」を兼ねている選手もいるのだとか。プロの工夫はおもしろいですね。 あなた 冷やすなら、どこでもいいわけではないんですか? Torapon 効率のいい場所があるんです。キーワードは**「太い血管が皮膚の近くを通っているところ」**ですよ。 ...

July 18, 2026 · 1 分
リンクスコースで振り抜いた女子ゴルファーの後ろ姿のイラスト

15キロやせて、メジャーで勝った 〜桑木志帆選手の体づくり(前編・生活とトレーニング)〜

2026年8月2日。イングランドのロイヤルリザム&セントアンズで行われた AIG全英女子オープン で、桑木志帆選手(23歳) がプレーオフを制し、メジャー初優勝を果たしました。日本勢としては2年連続、7人目の女子メジャー制覇です。 このニュースを、私は理学療法士としてずいぶん違う角度から見ていました。というのも、優勝の背景に 「1年で13〜15キロの減量」 があり、しかもその狙いが 飛距離ではなかった からです。 彼女が体重を落とした理由は、こうでした。 膝と腰への負担を減らすため。 これは、当ブログがずっと書いてきたことと、まったく同じ考え方です。今回は前編として、桑木選手が1年かけて何をしたのか を、体の専門家の目で読み解いてみます。 この記事のポイント ✅ きっかけは「ズボンのボタンが弾けた」こと。減量の狙いは飛距離ではなく 膝と腰を守ること でした ✅ 体重1キロの差は、膝にとっては 歩くだけで約3キロ、階段では4〜7キロ分 の差になります。15キロなら—— ✅ やったことは特別ではありません。アプリでカロリーを記録する/揚げ物とジュースを控える/コーヒーはブラック。それだけです 目次 きっかけは「ズボンのボタン」だった 狙いは飛距離ではなく、膝と腰だった やったこと、やめたこと 前傾姿勢が崩れない体をつくる 勝因のもうひとつは「準備」だった 私たちが真似できること おわりに きっかけは「ズボンのボタン」だった まず、この話がいいなと思うのは、始まりがまったく格好よくないところです。 優勝後の会見で、桑木選手はこう明かしています。 「1回、ズボンのボタンが弾けて『あっ、これやばい』と思ったので、やせようと決意しました」 メジャーチャンピオンの減量が、ズボンのボタンから始まっている。ここに、私はとても勇気づけられました。きっかけなんて、その程度でいい ということだからです。 さらに興味深いのは、この減量が 専属トレーナーに相談せずに、自分の判断で始められた ということ。桑木選手は2023年5月から小楠和寿トレーナーと契約していますが、減量そのものは「自分自身で決めてやっています」と話しています。 あなた プロなのに、トレーナーさんに相談せずに減量したんですか? 少し意外です。 Torapon 私も驚きました。ただ、自分の体の変化に自分で気づいて、自分で決めた というのは、じつは長続きの条件でもあります。人から言われて始めたことは、たいてい途中でやめてしまいますから。 狙いは飛距離ではなく、膝と腰だった ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。 報道によれば、桑木選手が減量に取り組んだ狙いは 膝や腰への負担を軽くすること でした。飛距離を伸ばすためではありません。 体重1キロは、膝にとって何キロ分か 体重が膝にかける負担は、体重そのものではありません。歩いたり階段を上ったりするとき、膝には体重の何倍もの力がかかります。 よく言われている目安が、これです。 動作 膝にかかる力 体重1キロ減ると 平地を歩く 体重の約3倍 約3キロ分 軽くなる 階段の昇り降り 体重の約4〜7倍 約4〜7キロ分 軽くなる では、桑木選手の15キロは、どうなるでしょうか。 平地を歩くだけで、およそ45キロ分。階段では、60〜100キロ分。 膝にとっては、大人ひとり分の荷物を下ろした ようなものです。ゴルフは1ラウンドで数キロ歩き、傾斜を上り下りするスポーツですから、この差は4日間の試合で効いてきます。 ...

August 17, 2026 · 1 分
練習場ではなくジムでトレーニングをするゴルファーのイラスト

プロは、すでにやっていた 〜101人の調査でわかった、コースの外の過ごし方〜

前回の記事で、こう書きました。 ゴルフは、歩いて・考えて・人と話す運動。足りていないとすれば、筋肉にしっかり力を出させる場面のほうかもしれない。 前回の記事はこちらです。 👉 数字はよかった。それでも「効いた」とは言えなかった 〜5,074人を4年追った、ゴルフと認知症の研究〜 書き終えてから、ふと思いました。では、本気でゴルフをやっている人たちは、実際どうしているのだろう。 練習場やコースの様子はよく目にしますが、その外で何をしているかは、あまり知られていません。 ちょうど、それを調べた調査がありました。アメリカの Hospital for Special Surgery(スポーツ整形で有名な病院です)のグループが、大学のトップ選手とツアープロ、合わせて101人に「コースの外で何をしているか」を聞いた調査です。2026年5月、リハビリテーション医学の専門誌『PM&R』に載りました。 結論から言うと、特別な裏技は、ひとつも出てきませんでした。 この記事のポイント ✅ 86.1%が、ゴルフのための筋トレをしていました。頻度は週2.9日。「打つ練習」とは別に、体をつくる時間を持っています ✅ スイングコーチ78.2%、トレーナー71.3%、スポーツ心理士が約半数。誰も一人でやっていません ✅ 意外だったのが睡眠。ツアープロのほうが、大学生より「6時間未満」の人が多い。そして、だからこそ睡眠の専門家に相談していました 目次 101人に、コースの外のことを聞いた ほとんどが、筋トレをしていた 誰も、一人でやっていない 3人に2人が、食事を変えている ツアープロほど、眠れていなかった ここは、正直に 私たちが真似できること おわりに 101人に、コースの外のことを聞いた まず、どんな人たちに聞いた調査なのかを押さえておきます。 101人(大学の競技者56人、ツアープロ45人) 平均年齢 25±8歳、男性が55% 競技歴は平均 4.1±3.5年 インターネットでのアンケート調査 平均25歳です。 私たちの多くとは、年齢も体力も違います。そのままそっくり真似できる内容ではありません。それでも読む価値があるのは、出てきた項目が、どれも特別なものではなかったからです。 ほとんどが、筋トレをしていた いちばん知りたかったところから。 101人のうち86.1%が、ゴルフのための筋力トレーニングをしていました。頻度は週2.9±2.0日です。 数字にすると、10人のうち8〜9人。やっていないほうが少数派ということになります。 そして頻度の「週2.9日」も、注目していただきたいところです。毎日ではありません。 週3回前後。これは、私たちがリハビリの現場で高齢の方にお願いする頻度と、ほとんど同じです。 あなた プロだから毎日みっちりやっているのかと思っていました。 Torapon 筋肉は、負荷をかけた後の休みの間に強くなります。だから毎日やればいいというものではないんです。週2〜3回というのは、プロでもアマチュアでも、高齢の方でも変わらない目安です。ここは安心して真似できるところですね。 前回の記事でご紹介した、日本の5,074人の研究で最後まで残ったのが筋力トレーニングでした。飛距離のためにも、体を長持ちさせるためにも、頭のためにも、同じところを指している。 私はここに、いちばん納得しました。 誰も、一人でやっていない 次の数字が、個人的にはいちばん考えさせられました。 誰と組んでいるか 割合 スイングコーチ 78.2% アスレティックトレーナー 71.3% スポーツ心理士 約50% 栄養の専門家 41.1% 睡眠の専門家 23.7% ほぼ全員が、誰かに見てもらっています。 スイングだけではありません。体、心、食事、睡眠。それぞれに専門の人がついているというのが、トップの世界の姿でした。 アマチュアの私たちが、これを全部そろえるのは現実的ではありません。ただ、「自分の目だけでは見えないものがある」という前提は、真似できると思います。 自分のスイングを自分で見ることはできません。自分の体の左右差も、自分では分かりません。一度でいいので、誰かに見てもらう。 それだけで、何年も直らなかったことが5分で分かる、ということが本当にあります。 ...

August 24, 2026 · 1 分
朝のコースでストレッチをする女性ゴルファーのイラスト

「あと10ヤード」をあきらめたら、メジャーに勝った 〜山下美夢有選手に学ぶ(前編・足さない選択)〜

飛ばしたい。 ゴルフをしている人なら、誰でも一度は思うことだと思います。あと10ヤード出れば、あの池を越えられるのに。あと10ヤード出れば、2打目が7番アイアンで届くのに。 その「あと10ヤード」を本気で取りにいって、やめた選手がいます。 身長150センチ。2026年8月、アメリカのツアーで2位に9打差をつけて優勝した山下美夢有選手です。 この記事のポイント ✅ 米ツアーに移った当初、「あと10ヤードほしい」と考えてトレーニングの強度を上げました。けれど、そこから成績は上がりませんでした ✅ 元のやり方に戻したのが、全英女子オープンの約3週間前。その大会でメジャー初優勝を果たします ✅ 朝の準備の順番が見事です。ほぐす → 確かめる → 軽く入れる。この3段階は、そのまま真似できます 「あと10ヤードほしい」と思った 山下選手は日本ツアーで賞金女王になり、2025年からアメリカを主戦場にしました。 そこで感じたのが、飛距離の差だったようです。「10ヤードくらい足したい」。そう考えて、プレースタイルの見直しを検討し、トレーニングの強度も上げました。 体を大きくして、飛距離を足す。理屈としては、まっとうな判断だと思います。 あなた 私も同じことを考えると思います。それで、どうなったんですか? Torapon 本人の言葉が、そのまま答えになっています。「そこから成績が上がることはなかった」。かなり率直な言い方ですよね。 3週間前に、元に戻した 転機は2025年の夏でした。 全英女子オープンの約3週間前、7月のエビアン選手権の前に、山下選手は日本ツアーで結果を出していた元のやり方に戻します。 お父さん(コーチでもあります)の助言は、こうだったと報じられています。打ち方そのものより、スコアとショットづくりを優先しなさい。 そして迎えた2025年8月のAIG全英女子オープンで、メジャー初優勝。 さらに2026年8月には、カナダで開かれたCPKC女子オープンを、初日から一度も首位を譲らずに制しました。4日間で257ストローク。これはツアーの72ホール最少スコア記録に並ぶ数字です。 数字を見ると、戻して正解だったと分かる 2026年シーズンの公式記録です。 項目 順位 平均飛距離(252.34ヤード) 147位 フェアウェイキープ率(79.31%) 3位 平均ストローク(69.91) 3位 ※フェアウェイキープ率は、ティーショットがフェアウェイに止まった割合のことです。 飛距離は147位。ほとんど下のほうです。それで平均ストロークは3位にいます。 あなた 飛距離147位で、スコアは3位……。どういうことですか? Torapon 飛ばすところ以外が、全部ずば抜けているということです。この中身は面白いので、後編でじっくり見ていきます。ここでは「10ヤード足さなくても勝てた」という事実だけ受け取ってください。 理学療法士として、この話にはうなずくところがあります。体を変えるのは、時間もかかるし、うまくいくとはかぎりません。 それより、いま持っている体で何ができるかを詰めたほうが、近道になることがあるのです。 朝のルーティンが、とてもきれいです 9打差で勝ったあの大会で、LPGA公式が山下選手の朝の準備を紹介しました。順番はこうです。 股関節まわりのストレッチ(下半身) 肩まわりのストレッチ(上半身) 上体をひねって、体幹の状態を確認する チューブ・バンドを使う メディシンボールを軽く投げる 肩まわりのマッサージ 私がいちばん見事だと思ったのは、3番目です。 1・2でほぐして、3で「今日の体はどうか」を確かめて、4・5で軽く力を入れていく。ほぐす → 確かめる → 軽く入れる。この順番になっています。 多くのアマチュアの方は、ここが逆になりがちです。いきなり素振りをして、いきなり打ちはじめる。確かめる工程が抜けていることが多いのですね。 あなた 「確かめる」って、何を確かめればいいんですか? Torapon 正直に言いますと、山下選手が何を見ているのかまでは報道されていません。ですので、ここからは私の考えです。 見るのは「いつもどおりに動かせるか」でいいと思います。立って上体を左右にひねり、回りやすいほうと、回りにくいほうがないか。それだけです。左右で違う日は、無理に大きく振らない。それが分かるだけで、ケガの入り口をひとつ減らせます。 私たちが真似できること そのまま真似するのは大変ですが、順番だけなら今日からできます。 ...

August 28, 2026 · 1 分