「スピードトレーニング、始めてみたら意外と楽しい。でも、翌日ちょっと体が張るような……」
そんな方にこそ読んでいただきたい、シリーズ最終回です。
第1回・理論編 では「なぜ速く振る練習で飛ぶのか」を、第2回・実践編 では「クラブ1本でできる速振りドリル3つ」をお話ししました。
最終回のテーマは 体づくり編。第1回から繰り返しお伝えしてきたのが「準備なしの全力振りはケガのもと」でした。では、どんな準備をすれば、ケガをせずに速振りを続けられるのか——その具体的な方法を、体の専門家である理学療法士の視点からお話しします。
この記事のポイント
✅ 速振りの前は「止まって伸ばす」より 「動きながら温める」 ウォームアップが向いています
✅ 振り終わった後の 2〜3分のクールダウン が、翌日の張りと故障の予防につながります
✅ 痛みは体からの大事なサイン。「どこかが痛いまま速振り」は禁物です
なぜ速振りには「体づくり」がセットなの?
ドリル自体は15分だし、素振りだけなら体への負担も軽いのでは?
それが、そうでもないんです。速振りは 自分の限界に近い速さ で体をひねる運動。ボールを打たなくても、腰・肩・ひじにかかる負担は、普通の素振りよりずっと大きいんですよ。
スピードトレーニングは、いわば 短距離走のような全力運動 です。ジョギングの感覚のまま全力ダッシュをすると足を痛めやすいのと同じで、いつもの素振りの感覚のまま全力の速振りをすると、体のあちこちに思わぬ負担がかかります。
だからこそ、この3つをセットにしてほしいのです。
- 直前:動きながら体を温めるウォームアップ(5分)
- 直後:興奮した体を落ち着けるクールダウン(2〜3分)
- ふだん:速く振っても崩れない体を育てる、週単位の体づくり
順番に見ていきましょう。
速振り前の「5分ウォームアップ」

速振りの前のウォームアップは、「動きながら温める」 のがポイントです。じっと止まって伸ばすストレッチは、実は全力運動の直前にはあまり向いていません。体を軽く動かし続けて、筋肉の温度と心拍を少しずつ上げていきます。
おすすめは、この3つ(各1分ほど・合計5分)。
- その場足踏み+腕振り:軽く息がはずむくらいまで、リズミカルに(1〜2分)
- 大きく腕回し:前回し・後ろ回しを各10回ずつ。肩甲骨から大きく動かします
- ひねり素振り:クラブを持たず、両腕を胸の前で組んで、小さく→だんだん大きく体をひねる。最後にクラブを持って、ゆっくり→7割の速さ の素振りを数回
ラウンド前にやっている股関節ストレッチとは、別物なんですか?
似ていますが、目的が少し違います。ラウンド前のストレッチ は「かたい所をほぐす」のが主役。速振り前はそれに加えて、体を温めてエンジンをかける ことが大事なんです。だから「動きながら」なんですよ。
5分たって、体がポカポカして軽く息がはずんでいれば準備完了。ここから第2回のドリルに入ると、最初の1振り目から体がスムーズに回ってくれます。
速振り後の「2〜3分クールダウン」
意外と忘れられがちなのが、振り終わった後 です。全力運動の直後の体は、車でいえばエンジン全開のまま。ここで急に止めず、ゆるやかに落ち着けてあげると、翌日の張りや疲れの残り方が変わってきます。
やることはシンプルです。
- ゆっくり素振りを5回ほど:全力の3割くらいの速さで、呼吸を整えながら
- 前腕を伸ばす:腕を前に伸ばし、手のひらを上に向けて、反対の手で指先をやさしく手前に(左右各20秒)
- 体側を伸ばす:両手を上げて、体をゆっくり左右に倒す(左右各20秒)
運動後は、こちらは「止まって伸ばす」ストレッチでOK。速振りでがんばった前腕・肩・体側を、痛気持ちいい手前でやさしく伸ばします。
背中や胸まわりのこわばりが気になる方は、フォームローラー(ストレッチ用ポール)に乗るのもおすすめです。
ストレッチ用ポール(フォームローラー)
あおむけに寝て乗るだけで、背中や胸まわりをやさしくゆるめられる定番アイテム。速振り後のクールダウンにも、ラウンド後のケアにも使えます。長さ・かたさは自分に合うものを選びましょう。
なお、ラウンド翌日 の疲れの取り方は、こちらで詳しくご紹介しています。 👉 ラウンド翌日に疲れを残さない、やさしいクールダウン習慣
ふだんの体づくり:速く振っても崩れない体へ
直前と直後はわかりました。「ふだんの体づくり」は、何か新しい運動を覚えるんですか?
いいえ、実は これまでの記事でご紹介した運動で十分 なんです。速振りを始めた今こそ、あの2つが効いてきますよ。
速く振れる体の土台は、「しなやかにひねれること」 と 「軸がぶれないこと」 の2つ。どちらも、当ブログでこれまでご紹介してきた運動がそのまま使えます。
- しなやかさ:体のひねり(回旋)がかたいまま速振りをすると、腰や肩にしわ寄せがいきます。まずは自分のかたさをチェックして、ストレッチで少しずつ。 👉 回旋可動域チェックと改善ストレッチ
- ぶれない軸:速く振るほど、体幹には「振り回されない力」が求められます。自宅でできるやさしい体幹トレーニングから。 👉 自宅でできる体幹トレーニングで飛ばす土台づくり
速振りドリルが週3回・1日おきなので、あいだの日にストレッチや体幹トレを入れる と、ちょうどよいリズムになります。
痛みが出たら:体からのサインを見逃さない
どんなに準備をしても、痛みが出ることはあります。大切なのは、そこで 無理をしない ことです。
- 振っている 最中に痛みが走る → その場で中止。その日はもう振らない
- 同じ場所の痛みが2〜3日続く → 速振りをいったんお休みして、セルフケアを優先
- しびれ・夜も痛む・日常生活でも痛い → 自己判断せず、整形外科などの医療機関へ
部位ごとのセルフケアは、こちらの記事をどうぞ。
👉 ゴルフで肘が痛い人へ(ゴルフ肘のセルフケア) 👉 ゴルフで手首が痛い人へ(手首のセルフケア) 👉 ゴルフで腰が痛くなる人へ(股関節ストレッチ) 👉 ゴルフで肩が痛い方へ(肩のセルフケア)
痛みをこらえて続けたほうが、早く上達しそうな気もしますが……。
そこはきっぱり、逆です。痛みがあると体は無意識にブレーキをかけるので、速さも育ちにくくなる んです。休む勇気も、飛距離アップの立派なトレーニングのうちですよ。
シリーズのまとめ:3つそろって「最先端」
全3回のスピードトレーニングシリーズ、これで完結です。
- 第1回 = 理論編:なぜ速く振る練習で飛距離が伸びるのか
- 第2回 = 実践編:クラブ1本でできる速振りドリル3つ
- 第3回(今回) = 体づくり編:ケガなく続けるための準備とリカバリー
理屈を知り、ドリルを行い、体を整える——この3つがそろってはじめて、スピードトレーニングは安全に、そして長く続けられます。続けられることこそ、飛距離アップのいちばんの近道 です。
そして、速く振れる体になったら、その速さをボールに伝える スイングの見直し も効いてきます。自分では気づけないクセは、一度プロの目でチェックしてもらうのがおすすめです。
ライザップゴルフ|無料体験レッスン
マンツーマンで専属トレーナーがスイングを分析。速く振れる体を飛距離につなげる振り方を、体の使い方とスイングの両面から見てくれます。まずは無料体験から。
おわりに
飛距離アップの旅は、派手なドリルだけでは完成しません。直前の5分、直後の2〜3分、そしてふだんの小さな積み重ね——地味に見えるこの部分こそが、速く振れる体を支える土台です。
体をいたわりながら、楽しく速振りを続けて、秋のゴルフシーズンには「あれ、飛んでる?」を体感してください。応援しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。トレーニングの効果には個人差があります。持病のある方や、痛み・不調が続く場合は、自己判断せず医師・専門家にご相談ください。