グリーン上でパットのラインを読む女性ゴルファーのイラスト

飛距離147位の選手が、賞金3位にいる 〜山下美夢有選手に学ぶ(後編・数字と道具)〜

前編で、こう書きました。 「あと10ヤード」を取りにいって、やめた。そして元のやり方に戻したら、メジャーに勝った。 前編はこちらです。 👉 「あと10ヤード」をあきらめたら、メジャーに勝った では、その「元のやり方」の中身は何なのでしょうか。飛距離147位の選手が、なぜ賞金3位にいるのか。 数字がはっきり答えてくれます。 この記事のポイント ✅ 打数をどこで稼いだかを見ると、ドライバーで得た打数は「0.00」。ティーショットでは1打も得していません ✅ そのかわりパットはツアー1位。しかも、その年のツアー最高値そのものです ✅ 道具にも一貫性があります。シャフトは硬さを抑えた設定。強く振るためではなく、同じところに当てるための組み立てに見えます 打数を、どこで稼いだのか ゴルフには「打数をどこで得したか」を場面ごとに分ける指標があります。平均的な選手と比べて、その場面で何打ぶん得をしたかを表す数字です。 2026年シーズンの山下選手は、こうなっています。 場面 得した打数 順位 ティーショット 0.00 92位 アプローチショット 0.10 71位 グリーン周り 0.24 46位 パット 1.47 1位 ティーショットが 0.00。ドライバーでは、1打も得していないということです。 あなた ゼロって、ずいぶんはっきりした数字ですね……。 Torapon そうなんです。そしてパットの1.47は、その年のツアーで誰よりも高い値でした。1位というだけでなく、トップの数字そのものなんですね。ドライバーで得た分がゼロでも、これだけで押し切れてしまう。 さらに、2026年シーズンで1位が4つ並んでいます。 パットで得た打数 1位 スクランブリング(グリーンを外してもパー以上で上がる力)1位 ボギー回避 1位 アンダーパーのラウンド数(39回)1位 大きく叩かない。外してもパーで上がる。 それを積み重ねた結果が、平均ストローク3位です。 道具にも、同じ考え方が通っています ゴルフダイジェスト公式に載っている2026年のセッティングを見ると、面白いことに気づきます。 ドライバー:スリクソン ZXi(9度)/SPEEDER NX GOLD 40g台・SR アイアン:スリクソン ZXi5(6番)+ZXi7(7番〜PW)/ダイナミックゴールド 80g台・R300 ウェッジ:クリーブランド RTZ(48度・52度・58度) パター:テーラーメイド スパイダー ツアーX クランクネック ボール:スリクソン Z-STAR XV 注目したいのはシャフトです。ドライバーはSR、アイアンのダイナミックゴールドもR300。ツアーで戦う選手としては、硬さをかなり抑えた設定です。 あなた プロなのに、やわらかめなんですね。意外です。 Torapon ここからは私の見立てですが、「強く振るための道具」ではなく「毎回同じところに当てるための道具」を選んでいるように見えます。フェアウェイキープ率はツアー3位でしたよね。数字とセッティングが、ぴたりと合っているんです。 ...

August 30, 2026 · 1 分
手術を終えた中高年ゴルファーが、練習グリーンでゆっくりパターを打っているイラスト

肩を手術したら、もうゴルフは無理ですか 〜208人が答えた「戻れた割合」と、戻る順番〜

「先生、私はもうゴルフはできませんか」 肩の手術を前にした方が、いちばん聞きたくて、いちばん聞きづらいのが、この質問ではないでしょうか。痛みは取りたい。でも、ゴルフをあきらめるくらいなら我慢する。そう考えて手術に踏み切れずにいる方は、決して少なくないと思います。 この質問には、実はもう答えが出ています。2026年に、肩の人工関節の手術を受けたゴルファー208人を調べた研究が出ました。 この記事のポイント ✅ 肩の人工関節の手術を受けたゴルファー208人のうち、88.9%がゴルフに戻っていました。そのうち約8割は、手術前と同じかそれ以上のレベルです ✅ 戻る順番には決まった形があります。パター → アプローチ → ドライバー。全部そろうまで、だいたい半年から1年です ✅ ただし、学会が決めた復帰の目安は、まだ世界のどこにもありません。だから最終的な判断は、あなたを手術した先生にしかできません 手術ではなく、いまの肩の痛みをどうするかについては、こちらにまとめています。 👉 ゴルフで肩が痛い方へ 目次 208人のうち、185人が戻っていた 正直に書いておきたい、この数字の限界 戻る順番は、パター → アプローチ → ドライバー 人工関節には2つの種類があります 腱板を縫った場合はどうなるか いちばん戻りにくいのは「背中に手を回す動き」 学会が決めた目安は、まだありません ここからは、私の想像です 戻るときに気をつけたい5つのこと おわりに 参考にした情報 208人のうち、185人が戻っていた アメリカ肩肘外科学会(ASES)の研究グループが、17の施設から集めたデータです。 対象は、肩の人工関節の手術を受けた人のうち、ゴルフをしていると答えた208人。平均年齢は69歳、約8割が男性。手術から平均で2年ほど経った時点で調べています。 結果はこうでした。 人数 割合 ゴルフに戻れた 185人 88.9% そのうち、手術前と同じかそれ以上のレベル 165人 79.3% さらに、いつ戻れたかも分かっています。 3〜6か月で戻った人……46.8% 7〜12か月で戻った人……31.7% つまり、8割近くの人が1年以内に戻っているということです。 あなた 思っていたよりずっと多いです。半分くらいかと思っていました。 Torapon 私も最初にこの数字を見たとき、同じことを思いました。肩の人工関節は「痛みを取る手術」で、動きは戻りきらないものという印象が、医療者のあいだにも根強くあるんです。 ただし、あとで書きますが、この88.9%という数字には読み方のコツがあります。そこも正直にお伝えしますね。 正直に書いておきたい、この数字の限界 先に書いておきます。この88.9%を、そのまま自分に当てはめないでください。 理由は2つあります。 ひとつめ。これはアンケートの研究です。 何人に配って何人が答えたのか、公開されている情報からは分かりません。一般に、こういうアンケートではうまくいった人のほうが答えてくれやすいことが知られています。実際、あとで紹介する腱板の研究では、633人に配って答えたのは197人だけでした。 ですから正確に言えば、「答えてくれた208人のなかでは、88.9%が戻っていた」となります。 ふたつめ。もともとゴルフをしていた人だけの数字です。 肩を手術した人みんなの話ではありません。手術の前からゴルフを続けていて、戻りたいと思っていた人たちが対象です。「戻りたい人が、どのくらい戻れるか」の目安、と考えてください。 それでも私は、この数字には意味があると思っています。「手術したら終わり」ではないことを、17施設・208人という規模ではっきり示したからです。 戻る順番は、パター → アプローチ → ドライバー もうひとつ、実際に役に立つ研究があります。アメリカ・オレゴンの施設で、肩の手術を受けたゴルファー71人を調べたものです。 ...

September 5, 2026 · 2 分
同じティーグラウンドに立つ男性ゴルファーと女性ゴルファーのイラスト

体はやわらかいのに、なぜ飛ばないのか 〜男女29人を測って見えた、本当の差〜

「私、体はやわらかいほうなんです。なのに飛ばないんです」 女性のアマチュアゴルファーから、こんな相談を受けたことがあります。 たしかに、一般に女性のほうが体はやわらかい。前屈もできる。開脚もできる。それなのに、同じくらいの腕前の男性より飛ばない。 やわらかさが足りないのではなく、やわらかさの向きが違った。2026年に出た研究を読んで、私はそう考えるようになりました。 この記事のポイント ✅ 同じ腕前の男女29人を細かく測ったところ、女性が柔らかかったのは13の検査のうち3つだけ。しかもゴルフにいちばん効く「ねじる方向」は、男女で差がありませんでした ✅ 差がついていたのは、地面を「素早く」押す力と、ダウンスイングで骨盤と体を加速させる力でした ✅ プロの世界では、女子のコースは男子の約90%の長さ。でも女子の飛距離は男子の約86%。つまり女性のほうが、相対的に長いコースを戦っています 「回す」ための体づくりについては、3部作にまとめています。今回はその続きにあたる話です。 👉 回すのは腰ではなかった(可動域と筋力・第1回) 目次 同じハンデの男女29人を、まるごと測った 女性が柔らかかったのは、13のうち3つだけ そして「効く方向」の柔らかさは、同じだった 差がついたのは「速さ」だった 正直に書いておきたい、この研究の弱いところ プロの世界では、コースのほうに問題があった 現場で見てきたこと では、何をすればいいのか おわりに 参考にした情報 同じハンデの男女29人を、まるごと測った ニューヨークのスポーツ医学研究所(NISMAT)が行った研究です。 集めたのは、腕前の高い男性13人と女性16人。ここが大事なところで、両者のハンディキャップに差はありませんでした。年齢にも差はありません。 つまり「同じくらい上手な男女」を比べています。 そのうえで、次のものを全部測りました。 柔軟性……13種類の検査(前後の方向4つ、横の方向4つ、ねじる方向5つ) 筋力……肩6項目、股関節5項目 スイングの動き……骨盤と体の角度・速さ・加速 足が地面を押す力……床に埋めた測定板で、左右別々に 結果……レーダー式の計測器で、ヘッドスピード・ボール初速・飛距離 結果、ヘッドスピードもボール初速も飛距離も、男性が上でした。 ハンディキャップは同じなのに、です。 あなた 同じ腕前なのに、飛距離だけ違うんですか? Torapon そこがこの研究の面白いところなんです。飛ばないぶんを、別のところで取り返して同じスコアになっているわけですね。 あとで出てきますが、女性は方向性でお返ししています。プロの数字を見ると、それがはっきり出ています。 女性が柔らかかったのは、13のうち3つだけ さて、柔軟性です。 「女性のほうが柔らかい」。これは半分あたっていて、半分は違いました。 柔軟性の検査 どんな動きか 結果 前後の方向(4種類) 前屈や後屈のように、体を前後に曲げ伸ばしする動き 1つだけ女性が柔らかい 横の方向(4種類) 開脚や体を横に倒すように、左右に広げる動き 2つ女性が柔らかい ねじる方向(5種類) 股関節や肩、体を軸まわりにひねる動き すべて男女差なし ※どの検査をどう行ったかまでは、論文が有料のため確認できませんでした。ここでは「どの方向の動きか」だけをご紹介しています。 13の検査のうち、女性が上回ったのは3つだけでした。 そして、いちばん大事なところ。ねじる方向は、5つすべてで差がありませんでした。 そして「効く方向」の柔らかさは、同じだった なぜ、ねじる方向が大事なのか。 同じ研究グループが、2022年にこんな結果を出しています。 ゴルフの上手さと関係していたのは、ねじる方向の柔らかさだけでした。前後の柔らかさも、横の柔らかさも、上手さとは関係がありませんでした。 さらに、股関節のねじる方向の柔らかさだけで、ボール初速のばらつきの48%、飛距離のばらつきの45%を説明できたと報告しています。 ここを、今回の結果と重ねてみてください。 女性が余分に持っていた柔らかさ=前後と横=ゴルフの上手さとは関係が薄い方向 ゴルフに効く柔らかさ=ねじる方向=男女で差がなかった あなた じゃあ、開脚が得意でも意味がないということですか……。 Torapon ゴルフの飛距離という一点では、そうかもしれません。 ただ、開脚や前屈が無駄という話ではないんです。腰やひざを守るうえでは、どちらも大切です。 ...

September 7, 2026 · 2 分
ゴルフバッグに並んだクラブと、そばに置かれたルールブックのイラスト

その古いウェッジ、まだ使えます 〜道具のルール、いつの話で止まっていますか〜

コンペの朝、スタート前にバッグを開けたら、クラブが15本入っていました。 さて、何打の罰でしょうか。 ……この質問、ゴルフ仲間に聞くと答えがきれいに割れます。「1本オーバーだから2打」「いや4打」「そもそも失格じゃないの?」。正解は「違反したホールごとに2打、ただし1ラウンドで最大4打まで」 です。18ホールずっと15本のままでも、4打で止まります。 道具のルールというのは、こういう「知っているつもり」がとても多い分野です。しかも厄介なことに、ルールそのものが変わっているのに、頭の中の情報だけが古いままということが起きます。 今回、R&A(世界のゴルフ規則を決めている団体)とUSGA(全米ゴルフ協会)の公式文書を読み直してみたところ、世間に広く出回っている情報のうち2つが、すでに事実と違っていました。 この記事のポイント ✅ 「2024年からアマチュアも古いウェッジは使えない」は誤りです。2024年1月25日にR&A自身が否定しています。 あなたの古いウェッジは、今も普通に使えます ✅ 「2028年からボールが飛ばなくなる」も、もう古い情報です。2026年6月に撤回され、2030年1月まで何も変わらないことが決まりました ✅ 長尺パターは禁止されていません。 禁止されたのはクラブではなく、打ち方のほうです あなた えっ、古いウェッジが使えなくなるって聞いていたんですが……。 Torapon 私もそう思っていました。ところが調べてみたら、R&Aが公式に「そうしない」と結論を出していたんです。しかも2年以上前に。 こういうことが起きるので、道具のルールは出どころを確かめる価値がある分野なんですね。この記事では、規則の番号と決定された日付を添えて書いていきます。 クラブは14本まで。でも罰の数え方を間違えている人が多い まず、いちばん基本のところから。 クラブは14本まで(規則4.1b)。数えるのは自分が運んでいる分だけではなく、キャディさんが持っている分も含めてです。14本より少なくスタートするのは自由で、ラウンド中に14本まで足すこともできます。 問題は罰のほうです。 罰は「余分な1本につき」ではなく「違反が起きた各ホールにつき」。 ストロークプレーなら1ホールにつき2打、最大4打まで(最初の2ホールで2打ずつ)。 つまり15本でも16本でも、3番ホールで気づいても、上限は4打です。「1本につき2打だから、3本オーバーで6打」ではありません。 スタート前に気づけば、罰なしで済みます コンペでいちばんありがちな事故が、素振り用に1本余計に入れたまま抜き忘れるというものです。 これ、実は救いがあります。スタート前に気づいた場合は、罰なしで処理できます(規則4.1c(2))。同伴者かマーカーに「この1本は使いません」と宣言して、バッグの中でそのクラブを逆さまに差しておく。これで14本の制限には数えられません。 ラウンドが始まってから気づいた場合も、次の1打を打つ前に同じように除外を宣言します。ここで宣言せずにそのまま回ると、罰が増え続けてしまいます。なお、除外したクラブでうっかり打ってしまうと失格です。 「壊れた」と「なくした」で、扱いがまったく違います ここも間違えている人が多いところです。表にします。 状況 どうなるか ラウンド中に壊れた(規則4.1a(2)) ⭕️ 修理しても、別のクラブに取り替えてもよい ラウンド中になくした(規則4.1b(3)) ❌ 取り替えられない 他の人からクラブを借りる(規則4.1b(4)) ❌ 借りられない 他の人からボールをもらう(規則4.2a(1)) ⭕️ もらってよい 「壊れたら、そのラウンドはもう使えない」と覚えている方が多いのですが、今は取り替えてよいことになっています。ただし乱暴に扱って壊した場合は別です。ミスに腹を立てて地面に叩きつけた、というのは対象外になります。 クラブは借りられないのに、ボールはもらってよい。 この対比は、覚えておくと得をします。ボールを切らしたときは、遠慮なく同伴者に声をかけてください。 ドライバーの「上限」には、実は許容差があります ドライバーのヘッドは460ccまで。これはご存じの方も多いと思います。 ただ、規則をよく読むと続きがあります。 ヘッド体積は460ccを超えてはならない。プラス10ccの許容差(用具規則2.4b) 測定にはどうしてもばらつきが出るので、実測470ccまでは不適合とされません。 フェースの反発の強さにも上限があります。こちらは「反発係数」という言葉で語られることが多いのですが、現在の公式なものさしは「CT値」で、上限は239マイクロ秒(プラス18マイクロ秒の許容差) です。よく見かける「0.830」という数字は、現行の公式文書の中には見当たりませんでした。 この反発の上限があるおかげで、道具でボールスピードを上げられる範囲には天井があります。この話は別の記事で詳しく書いています。 👉 「速く振る」より先にやること(ミート率を上げる科学・第1回) 高反発ドライバーは「持つ」と「打つ」で分かれます いわゆる高反発ドライバー、いわゆる「ルール不適合」のクラブについて、規則は3段構えになっています。 バッグに入れているだけなら、罰はありません ただし、14本の中には数えられます そのクラブで1打でも打つと失格です(規則4.1a) さらに知られていないのが、ハンディキャップへの影響です。不適合クラブで打ったラウンドのスコアは、ハンディキャップの計算に使えません(ハンディキャップ規則2.1b)。「競技に出ないから関係ない」とも言い切れないわけです。 あなたの古いウェッジは、今も使えます ここからが、今回いちばんお伝えしたい話です。 2010年に、溝(グルーヴ)のルールが厳しくなりました。溝の容積を減らし、溝の角の丸みを増やす。ラフからスピンが効きにくくなるようにする、という趣旨の変更です。 このとき「一般アマチュアには猶予期間があり、2024年1月から全員に適用される」と説明されました。ネット上には今もこの説明がたくさん残っています。 ...

September 9, 2026 · 1 分
コース脇の掲示板でその日のローカルルールを確かめているゴルファーのイラスト

「前進4打」は、規則のどこにも書かれていません 〜プレーのルール、コンペで間違えやすいところ〜

ティーショットが右の林に消えて、白杭の向こうへ。同伴者が言います。 「じゃあ前進4打で」 私たちはこれを、当たり前の顔で受け入れています。では、この「前進4打」は、ゴルフ規則の何条に書かれているのでしょうか。 前回は道具のルールを扱いました。そのとき、世間で言われていることが2つとも古くなっていたので、今回も同じやり方で確かめてみました。 👉 その古いウェッジ、まだ使えます(道具のルール) 日本ゴルフ協会が公開している規則書と解説書を実際にダウンロードして、全文を検索したのです。 結果は、思っていた以上にはっきりしていました。 この記事のポイント ✅ 「前進4打」という言葉は、規則書にもローカルルールのひな型にも、1回も出てきません。規則書290ページ、解説書610ページを全文検索してゼロでした ✅ 似た制度としてE-5という正式なローカルルールはあります。ただし打数が同じになるだけで、打つ場所がまったく違います ✅ 「ハンディキャップの記入漏れが失格でなくなったのは2019年から」も誤りです。正しくは2023年から。しかも今でも失格になる場合があります あなた えっ、前進4打って正式なルールじゃないんですか? Torapon 正式な規則ではありません。 ただ、だから悪いという話ではないんです。ここは誤解のないように書きますね。 前進4打は、プレーが遅れないようにゴルフ場が決めた取り決めです。とても合理的だと思います。でも規則ではないので、コースが変われば中身も変わりますし、公式の競技では使えません。そこを知っているかどうかで、コンペでの落ち着きがまるで違ってきます。 まず基本から。OBは「1罰打」です 意外なほど間違って覚えられているのが、ここです。 紛失球やOBの球は、1罰打を加えて、直前に打った場所から打ち直す(規則18.2b) 2罰打ではなく、1罰打です。ティーショットがOBなら、1打目+1罰打で、次は3打目になります。 「OBは2打罰」と覚えている方が多いのですが、これは打ち直しに戻る手間を罰と一緒に数えているか、後で出てくる前進のルールと混ざっているのだと思います。 白杭ぎりぎりのとき、どこが境目なのか ここは私も書き方が雑になりかけたので、条文どおりに整理します。 まず、境目の線は、杭のどこに引かれるのか。 境界縁は杭のコース側を地表レベルで結んだ線によって定められる。そしてその杭はアウトオブバウンズとなる(規則18.2a(2)の図) つまり、杭の中心を結んだ線ではありません。杭のコース側の面を、地面の高さで結んだ線です。杭そのものはコースの外という扱いになります。ですから、線は思っているより少しだけコース側にあります。 そのうえで、球がセーフになる条件はこうです。 止まっている球の全体が境界縁の外にある場合にのみ、その球はアウトオブバウンズとなる。次の場合、球はインバウンズとなる: ・球の一部が境界縁の内側の地面やその他の物の上にあるか触れている ・球の一部が境界縁やコースの他の部分の上方にある場合 2つ目が見落とされがちです。球が線の真上にせり出しているだけでもセーフになります。境目の線は地面だけでなく、上にも下にも伸びているからです(定義「コース」)。 ですから、実際に見るのは「球が線に触れているか」ではなく、球の一部でも線の内側に残っているか(真上にかかっていてもよい)。ここまで分かっていれば、白杭ぎりぎりで揉めることはなくなります。 「前進4打」は、公式の文書に1回も出てきません ここが今回の中心です。 日本ゴルフ協会が公開している文書を実際にダウンロードして、全文を検索しました。結果はこうです。 調べた文書 ページ数 「前進」 「特設」 ゴルフ規則(2023年1月施行) 290 0件 0件 オフィシャルガイド(詳説・委員会の措置・ローカルルールのひな型まで全部入り) 610 0件 0件 2019年ゴルフ規則 179 0件 0件 マナーブック — 0件 — 検索の空振りではないことも確かめてあります。同じ文書の中で「前」は606か所、「特」は321か所ひっかかっているので、文字が読み取れなかったせいでゼロになったのではありません。 つまり—— 「前進4打」も「特設ティー」も、ゴルフ規則にも、R&Aとアメリカゴルフ協会が用意しているローカルルールのひな型にも、存在しません。 各ゴルフ場が独自に定めている、そのコースだけの取り決めです。 では「E-5」とは何なのか 「前進4打の正式名称はE-5だ」という説明を、私も見かけました。調べてみると、これは正確ではありませんでした。 E-5は、2019年に新しくできた正式なローカルルールのひな型です。名前は「紛失球やアウトオブバウンズの球についてストロークと距離に代わる選択肢」。狙いは、打ち直しに戻らずに前へ進めるようにして、プレーの流れを止めないことです。 前進4打とよく似ています。でも中身を並べると、別物でした。 E-5 前進4打 位置づけ 公認のひな型 公認文書になし 罰打 2罰打と明記 結果が4打目 打つ場所 球を失ったあたり 特設ティー 暫定球を打った後 使えない コース次第 プロの競技 妥当でないと明記 — 打数が同じになるカラクリ まず、なぜ「同じもの」に見えるのかを整理します。 ...

September 11, 2026 · 2 分
木の根元に止まったボールを前に、どう打つか考えているゴルファーのイラスト

その1打、腰と引き換えにする価値はありますか 〜体を守るためのルールの使い方〜

木の根元にボールが止まっています。打てなくはありません。腰を大きくねじって、根っこを避けて振り抜けば。 このとき私たちが天秤にかけているのは、たいてい「1打」です。1打をもったいないと思うから、無理な体勢で振る。 でも、もうひとつ乗せるべきものがあります。腰と腕です。 ルール3部作の最後は、ここを書きます。前2回とは少し角度を変えて、規則の中にある「降りるための出口」の話です。 この記事のポイント ✅ 規則には「体を守るために救済を受けてよい」とは、どこにも書かれていません。 そこは正直に書きます ✅ その代わり、アンプレヤブルは理由を聞かれません。 決められるのは自分ひとりで、1罰打です ✅ 邪魔な枝を折れば2罰打。降りれば1罰打。 安いのは、降りるほうです まず、正直なところから 調べていて、はっきりしたことがあります。 規則は「体を守れ」とは言っていません。 けがに触れている条文はごくわずかで、危険な動物(ヘビやハチなど)から離れる救済(規則16.2)くらいです。しかも、この規則はトゲのある植物のような他の危ないものは、はっきりと対象外にしています。 それどころか、規則はこうも書いています。 プレーヤーには通常のスタンスをとったり、通常のスイングを行う権利はない。その特定の状況に対応するために最も控えめな行動をとらなければならない(規則8.1b(6)) 「普通に立って普通に振る権利」は、保証されていないのです。 最も控えめな行動というのは、かみくだくと「まわりをいじる量を、いちばん少なくしろ」ということです。 球のそばに立とうとすれば、草を踏むくらいのことは避けられません。それは認められています。 ですが、立ちやすくするために必要以上に踏み固めたり、枝をよけたりしてはいけない。そこにある物をなるべくそのままにして、自分のほうが窮屈な姿勢に合わせなさい、という考え方です。 つまり規則は、打ちにくいなら、打ちやすくするのではなく、打ちにくいまま打つか、やめるかを選べと言っているわけです。 でも、話はここで終わりません。 規則は別のものを保証しています。 いつでも、自分の判断だけで降りてよい。 体を守れとは言わない。けれど、降りる自由は完全に保証している。この2つを混ぜずに知っておくことが、コースでいちばん役に立ちます。 罰なしで降りられるところ まず、1打も損せずに動かせる場面を確認しておきます。 カート道・修理地・水たまり・動物の穴。この4つは「異常なコース状態」と呼ばれ、罰なしで救済を受けられます(規則16.1)。球が上に乗っていなくても、足がかかるだけで対象です(ご存じの方も多いところですね)。 もうひとつ、知られていないのがこちらです。 地面にくい込んだ球は、罰なしで救済を受けられます(規則16.3) 雨上がりのフェアウェイで、自分の落下の跡にめり込んだ球。あれを無理に掘り起こそうとするのは、手首と肘にいちばん悪い打ち方です。掘る必要はありません。 ただし条件があります。 罰なしの救済 フェアウェイやラフ(一般エリア) ⭕️ あり バンカーの目玉 ❌ なし 刈っていない場所の砂 ❌ なし バンカーは「一般エリア」に入りません。 ですから、砂に埋まった目玉に、罰なしの出口はありません。ここは後で出てきます。 👉 手首を傷めやすい打ち方については、こちらに詳しく書いています ゴルフで手首が痛い人へ(手首のセルフケアと予防) そして、木の根元・斜面・立ち木には、罰なしの救済はありません。 どれも「異常なコース状態」に当たらないからです。つまり、いちばん体に悪い場面ほど、無料の出口がない。 ここが今日の本題につながります。 1罰打で降りる。理由は聞かれません 木の根元で、腰をねじらないと振れない。振り抜けば、間違いなく根っこを打つ。 斜面がきつすぎて、そもそもアドレスが取れない。そういうときの出口が、アンプレヤブルです。 規則19の見出しが、そのまま答えになっています。 プレーヤーは、ペナルティーエリア以外のどこででも、アンプレヤブルの球の救済を受けることを決めることができる(規則19.1) そして本文は、自分が「決定できる唯一の人」だと書いています。同伴者の同意も、キャディの判断も要りません。 私が調べた範囲では、「理由」を求める文言は見つかりませんでした。 それどころか規則の側が、救済後にもう一度アンプレヤブルにできる場面として、あるがままにプレーできない、あるいはプレーしたくないと決めた場合と書いています(詳説19.2/1)。 選べるのは3つで、どれも1罰打です(規則19.2)。 どうするか 打ち直し 直前に打った場所から 後方線上 ホールと球を結ぶ線の後ろへ。どれだけ下がってもよい 横に2クラブレングス 球の位置から横へ。ホールに近づかない範囲で 木の根元や斜面でいちばん現実的なのは、3つ目の「横に2クラブレングス」を選ぶことだと思います。1罰打で、平らな場所に立ち直せる可能性があります。 ...

September 13, 2026 · 1 分
夕方の練習場で、ドライバーのシャフトを大きくしならせながら振り下ろすゴルファー

しなり戻りは、飛距離を生んでいなかった 〜シャフト選びの科学(第1回・飛距離編)〜

「シャフトがしなって、戻る。あのムチのような動きが、ヘッドを加速させて飛距離を生む」 ゴルフを始めてから、何度この説明を聞いたか分かりません。私も、そう信じていました。柔らかいシャフトはよくしなるから走る、硬いシャフトはしならないから走らない。だからヘッドスピードに合わせてフレックスを選ぶのだ、と。 ところが、この「しなり戻りが飛距離を生む」という話を実際に測った研究を読んでいくと、思っていたのとは違う景色 が見えてきます。 しなり戻りの速さと、ヘッドスピードは、ほとんど関係がありませんでした。 今回から2回にわたって、シャフトの話を研究データから書きます。第1回は飛距離編 です。 この記事のポイント ✅ 重さも振り心地もそろえたうえで、柔らかいシャフトと硬いシャフトを打ち比べた研究では、しなり戻りの速さには明確な違いが出たのに、ヘッドスピードには違いが出ませんでした ✅ ヘッドスピードと強く結びついていたのは、シャフトの性質ではなく 打ち手が手元を回すスピード のほうでした ✅ ただし、33人それぞれが2本で打った球の平均を比べると、17人は、どちらか一方のシャフトのほうがはっきり速くなっていました。合うシャフトは人によって違う、ということです。フィッティングの意味は、ここにあります この記事に出てくる統計の言葉 (説明はここだけにまとめます) ・相関 = 2つの数字が、どれくらい一緒に動くかを −1 から +1 までの数字で表したもの。0に近いほど「おたがいに関係がない」、+1に近いほど「片方が大きいと、もう片方も大きい」という関係が強くなります ・統計的に有意でない = 測った数字にいくらか開きはあっても、その程度の開きは偶然でも起こりうる、という意味です。「差がゼロだと証明された」ではなく、差があるとは言えなかった ということですね ・盲検 (もうけん)= どちらのシャフトを使っているかを、打つ人に知らせずに試すやり方です。打つ人にも計測する人にも知らせない場合は、二重盲検 と呼びます。「今日は硬いほうだ」という思い込みが結果に混ざるのを防ぎます どちらのシャフトか、打つ本人にも分からないようにして打ってもらった 中心になるのは、カナダのマッケンジーとブーシェが2017年に Journal of Sports Sciences に発表した研究です。 参加したのは右打ちの男性ゴルファー33名 で、ハンディキャップの平均は12.1でした。上級者ばかりでもなく、初心者ばかりでもない、いわゆる中級者の集まりです。 この研究のすぐれているところは、シャフトの硬さ以外の条件を、徹底してそろえた ところにあります。 用意したのは、Rフレックスとよばれる柔らかいシャフト と、Xフレックスとよばれる硬いシャフト の2本。この2本は、 重さや慣性モーメント(=回しにくさの度合いのこと)など、振ったときの感じにかかわる性質を、ほぼ同じにしてある つまり、違うのは、しなりやすさだけ という状態です。そのうえで、1人が各シャフトで14球ずつ打ち、途中でシャフトが替わったことは、打つ人に知らせませんでした。終わったあとで、参加者は全員、途中で替わったことに気づかなかった と答えています。 ここまでやるのには理由があります。ふつうにシャフトを打ち比べると、たいてい重さも振り心地も違いますし、何より、「柔らかいほうを持っている」と分かった瞬間に、人は振り方を変えてしまう からです。それを全部止めたうえで、シャフトそのものの効果だけを取り出したわけですね。 あなた そこまでする必要があるんですか。打てば分かりそうなものですが……。 Torapon それが、分からないんです。私たちは「柔らかいと聞かされた」だけで、実際に振り方を変えてしまいます。試打で「このシャフト、走りますね」と感じたとき、走っているのがシャフトなのか自分なのかを、感覚では区別できません。だから、知らせずに打ってもらうんですね。 しなり戻りは、たしかに速かった。でもヘッドスピードは変わらなかった 結果を、順番に見ていきます。 まず、しなり戻りの速さ です。研究ではキック速度 と呼ばれています。シャフトが後ろにたわんでから前に戻ってくる、その戻りの速さのことです。 しなり戻りの速さ R(柔らかいほう) 1.7 m/s X(硬いほう) 1.2 m/s 柔らかいRのほうが、硬いXより0.5 m/s 速く戻っていました。これは統計的にもはっきりした違いです。つまり「柔らかいシャフトのほうがよく走る」こと自体は、事実でした。 ...

September 15, 2026 · 2 分
練習場で、アイアンのシャフトを目の前にかざし、じっと見つめる男性のイラスト

シャフトが変えていたのは、飛距離ではなかった 〜シャフト選びの科学(第2回・体編)〜

前回のおさらい 第1回では、シャフトの「しなり戻り」の話を実測データで見ていきました。 結論はこうでした。シャフトの硬さを変えても、ヘッドスピードはほとんど変わりませんでした。 そして「しなりが戻る勢いでボールを弾き飛ばす」という説明にも、測定の裏づけは見つかりませんでした。シャフトはたしかにしなりますが、そのしなりが飛距離を生んでいる、という筋道は確かめられなかったのです。 👉 第1回・飛距離編はこちら そうなると、当然の疑問が残ります。 では、シャフトはいったい何を変えているのでしょうか。 今回はそこを、見つかった研究だけを使って正直に見ていきます。先に結論を書いておきます。シャフトが変えていたのは「飛距離」ではなく、「当たり方(フェースの向き)」と「体への負担」でした。 この記事のポイント ✅ シャフトのねじれやすさを変えると、インパクトでフェースの向きが変わり、ボールの落ちる場所が右にずれました(40名の研究) ✅ 72グラムのカーボン と 101グラムのスチール を比べると、前腕の筋肉の働き方が違いました。ただし飛距離は同じでした ✅ 打ち手は無意識に力の入れ方を変えて、体のほうがシャフトに合わせていました。合わせる手がかりは、関節や筋肉から届く感覚です 先に、統計の言葉をひとつだけ この記事には「有意(ゆうい)」という言葉と、p=0.028 のような数字が出てきます。ここで一度だけ説明しておきます。 「有意」とは、「たまたまでは説明しにくい、はっきりした違いがあった」という意味です。 p のうしろの数字が小さいほど、偶然では説明しにくくなります。0.05より小さければ「有意」とみなす のが慣習です。 ただし、これは「違いが大きい」という意味ではありません。「違いが偶然ではなさそうだ」というだけ です。ここを混同すると、研究の読み方をまちがえます。 ① ねじれやすさは「方向」に効いていた まず取り上げたいのは、シャフトのトルク(=シャフトのねじれやすさのこと。ねじれやすいほど数字が大きくなります)の研究です。 40名のゴルファーを対象にした研究(MacKenzie ら、2018年)で、ねじれやすいシャフト と ねじれにくいシャフト を打ち比べてもらいました。すると、ねじれやすいシャフトのほうで、次の3つが起きていました。 インパクトでのロフト(フェースの上向き加減)が増えた(p=0.028) インパクトでフェースがはっきり開いた(p<0.001) ボールの落下地点が、有意に右にずれた(p=0.002) ここで大事なのは、この3つはどれも飛距離の話ではない ということです。変わったのは「どこへ飛ぶか」でした。 さらに、この研究では40名のうち25名は、一人ひとりで見ても、シャフトのねじれやしなりによるフェースの開きが、ねじれやすいシャフトのほうで有意に大きくなっていました。平均だけでなく、一人ひとりでも違いが確認できたということです。 なお、シャフトがどれだけねじれたかは直接測っておらず、ほかの測定値から「ねじれによるものだろう」と研究チームが推定しています。 あなた 右に出るのはスイングのせいだと思って、ずっと直そうとしていました。 Torapon そこはご自身を責めなくていいと思います。この研究が言っているのは、シャフトのねじれやすさが変わるだけで、フェースの向きは変わりうる ということです。もちろんスイングの影響もありますが、道具の側にも理由がありうる 。まずはその可能性を知っておいてください。 ただし正直に書いておくと、これは1本の研究です。 他の研究で同じ結果が繰り返し出ているところまでは確認できませんでした。「そういう報告がある」という受け止め方が、いまのところ正確です。 ② シャフトを替えると、前腕の筋肉の働きが変わった ここからが、私がいちばん書きたかったところです。 2026年に発表された研究(Grieß D ら、BMC Musculoskeletal Disorders)を見ていきます。参加したのは40名、平均51歳、平均ハンディキャップ16 のゴルファーです。 比べたのは、この2本でした。 重さ ねじれやすさ(トルク) カーボンシャフト 72グラム 2.1 スチールシャフト 101グラム 1.8 そして測ったのが筋電図(きんでんず=筋肉が働くときに出るごく弱い電気を、皮膚の上から拾って「どれくらい働いたか」を見る方法のこと)です。 ...

September 19, 2026 · 3 分
秋のフェアウェイを、キャディバッグを担いだキャディと並んで歩くゴルファーのイラスト

歩いて回ると、飛ばなくなるのか 〜カートと歩きを同じ人で比べた研究〜

「歩いて回ると、後半ヘトヘトになって飛ばなくなるから」 私も、なんとなくそう思っていました。 では、実際はどうなのでしょうか。2025年12月、イギリスとポルトガルの研究チームが、同じゴルファーに「歩いて1ラウンド」「カートで1ラウンド」の両方を回ってもらい、体とスイングを細かく比べた研究を発表しました。 この記事のポイント ✅ 歩いた日は、カートの日より 約1万700歩多く歩き、動いた分のカロリーは 約420kcal多く使っていました ✅ それでも、ヘッドスピードとボールの初速は変わりませんでした。落ちていたのは、スイングではなく脚のバネ(ジャンプ力)でした ✅ ただし参加者は 21歳の上級者です。同じ18ホールでも、年齢を重ねるほど「しっかりした運動」になります。そこも合わせてお話しします 疲れとスイングの関係は、前回こちらでも取り上げました。今回は「歩くこと」の疲れの話です。 👉 後半に崩れるのは、気のせいじゃなかった 目次 同じ人が、歩きとカートで1回ずつ回った 身体の数字は、はっきり違った それでも、ヘッドスピードは落ちなかった 落ちていたのは「脚のバネ」だった 正直に書いておきたい、この研究の条件 年齢を重ねると、同じ18ホールがもっと「運動」になる カートの日でも、歩数は稼げる こんなときは無理をしないで おわりに 参考にした情報 同じ人が、歩きとカートで1回ずつ回った 研究をしたのは、イギリスのリバプール・ジョン・ムーア大学などのグループです。『European Journal of Sport Science』というスポーツ科学の専門誌に載りました。 参加したのは、ポルトガルのゴルフ専門の学校に通う(または通っていた)男性16人。平均21歳、ハンディキャップは平均2.3という、かなりの上級者です。 この16人に、2日続けて、同じコース(18ホール・約6,600メートル)を回ってもらいました。 ある日は 歩いて回る(バッグはキャディが担ぐので、本人は手ぶら) もう1日は カートに乗って回る(キャディが運転。フェアウェイにも乗り入れでき、グリーンの近くまで行ける) どちらを先にするかは、くじ引きで決めています。同じ人どうしで比べるので、体力や腕前の差が結果に混ざりにくいやり方です。 測ったものは、歩数、動いた分のカロリー、心拍数、そしてのみこむタイプの小さな体温計で測った体の内側の温度。さらに1・6・12・18番のティーで、ヘッドスピード、ボールの初速、キャリー、ジャンプの高さを測りました。 身体の数字は、はっきり違った まず、身体のほうの結果です。 歩き カート 歩数 17,007歩 6,274歩 動いた分のカロリー 880kcal 456kcal 平均の心拍数 109拍/分 94拍/分 飲んだ水の量 1.6リットル 1.2リットル ラウンド後の「きつさ」(0〜100) 41 25 ラウンドにかかった時間 5時間6分 5時間5分 歩いた日は、約1万700歩多く歩き、約420kcal多く使っていました。体の内側の温度も、6番・12番・18番の時点で、歩いた日のほうが0.3℃ほど高くなっていました。 研究チームは、歩いた日は「ほどほどの強さの運動」、カートの日は「軽い運動」 にあたると書いています。 あなた 880kcalって、ご飯何杯分ですか? Torapon そう聞きたくなりますよね。ただ、人は寝ているだけでも、息をしたり体温を保ったりするためにカロリーを使っています。この880kcalは、その分を除いて、歩いたりクラブを振ったりして「余分に」使った分だけの数字です。しかも、バッグはキャディが担いでいます。その日1日に使ったカロリーの合計は、これよりずっと多くなるので、食べる量とそのまま比べるのはやめておきましょう。 ...

September 26, 2026 · 2 分