背中を大きくひねってバックスイングするゴルファーのイラスト

回すのは腰ではなかった 〜ゴルフに必要な可動域と筋力(第1回・体幹編)〜

「もっと腰を回して」 練習場でも、レッスン動画でも、たぶん一度は聞いたことのある言葉だと思います。ところが体のつくりを調べていくと、この言葉は最初からかなり無理を言っている ことが分かります。 腰は、そもそもほとんど回らない関節だからです。 今回から3回にわたって、ゴルフに必要な「関節の動く範囲(可動域)」と「筋力」 を、体の場所ごとに見ていきます。第1回は体幹——首・背中・腰の3つです。 この記事のポイント ✅ 体を45度ひねっても、腰の骨の関節ひとつあたりは1〜2度しか回っていません。回っているのは背中(胸椎)と股関節です ✅ 意外なことに、体の柔らかさとヘッドスピードには関係が見つかっていません(20の研究をまとめた解析)。可動域は飛距離のためではなく、腰を守るため に必要なものです ✅ 年齢とともに落ちるのは「ひねり」ではなく 「反る動き」。だから中高年の方には、胸を反らせる運動から始めるのが理にかなっています 腰が痛い人は、こんなに多い まず現実から。男性ゴルファー1,170名(平均55歳)に「この1週間で不調のある場所」を聞いた調査では、腰が37.3% と断トツの1位でした。2位の左ひざ13.3%の、およそ3倍です。 さらに、アマチュアゴルファー910名を5か月間追いかけた調査では、腰まわりのケガは 1年に1人あたり1.26回 の割合で起きていました。そして、そのせいでゴルフを休むことになった日数も、体のほかのどの場所より長く なっていました。腰は、いちばん痛めやすくて、いちばん長くコースから遠ざかる場所ということです。 あなた やっぱり腰なんですね……。私も、ラウンドの翌日はいつも腰が重いです。 Torapon ゴルファーの体でいちばん弱点になりやすいのが腰です。ただ、腰そのものを鍛えても、あまり解決しない んですよ。理由は、この次にお話しします。 腰は「回らない」のが正解 ここが今日のいちばんお伝えしたいところです。 MRIを使って、体を45度ひねったときに背骨のどこがどれだけ回っているかを立体的に測った研究があります。結果は——腰の骨(腰椎)の関節ひとつあたり、たったの1.2〜1.7度 でした。 古典的なレントゲン研究でも、腰椎の関節ひとつのひねりは約2度。腰椎全体を足し合わせても、片側でせいぜい 7〜13度 しかありません。 一方で、スイングでは体を大きくひねります。その差はどこから来ているのか。答えは 背中(胸椎)と股関節 です。 あなた では「腰を回して」と言われて、腰を回そうとしていたのは……。 Torapon できないことをやろうとしていた、ということになります。腰は回すところではなく、支えるところ。回す仕事は背中と股関節の担当です。ここが入れ替わってしまうと、腰に無理がかかります。 背中が硬いと、腰が肩代わりする これは実際に測られています。 プロゴルファー30名を「股関節が20度未満しか内側に回らない人」と「30度以上回る人」に分けて比べたところ、回らない人のほうが、スイング中に腰を曲げる量・ひねる量・横に倒す量が有意に大きく なっていました(米国スポーツ医学誌, 2015年)。回るはずの場所が回らないと、腰が代わりに動いてしまうわけです。 背中側でも同じことが観察されています。腰痛のあるプロと、ないプロのスイングを比べた研究では、腰痛のあるプロは、ふだん使える体のひねりの量が少なく、その結果スイングでは「限界を超えたひねり」を強いられていた という報告があります(英国スポーツ科学誌, 2002年)。ただしこちらは各グループ6名だけの小さな研究なので、参考程度に受け取ってください。 つまり—— 背中と股関節が回る → 腰は支えるだけで済む 背中と股関節が硬い → 足りない分を腰が肩代わりする → 痛める ですから、ゴルフの腰痛でいちばん大事なのは、痛む腰そのものではなく、その上下——背中と股関節をやわらかくすること です。腰をいくらもんでも、回るべき場所が硬いままなら、次のラウンドでまた同じことが起こります。痛いところと、原因のあるところが違う。 これはリハビリの現場でも、毎日のように出会う話です。 首については、正直まだ分かっていません ここは誠実にお伝えします。 ゴルフでは、ボールを見続けながら体を回すので、首はかなり特殊な使われ方をします。首の不調を訴えるゴルファーは8.7%(前出の1,170名調査)。決して少なくありません。 ただ、スイング中に首が何度回っているかをきちんと計測した研究は、調べた範囲では見つかりませんでした。ネットでよく見かける「ゴルファーの首は70度以上回るべき」といった数字も、指導団体が現場で使っている目安であって、研究で検証されたものではないようです。 あなた そういうのって、はっきり書いてもらえると逆に安心します。 Torapon 分かっていないことを「分かっている」ように書くのは、いちばんやってはいけないことだと思っています。首が回りにくい方は、無理に基準を目指すより「痛みなく振り向けるか」を目安に してください。振り向くと痛い・しびれる、という方は運動より先に受診をおすすめします。 ...

August 8, 2026 · 2 分
下半身の踏み込みを強調したダウンスイングのゴルファーのイラスト

股関節は、もう限界まで使われている 〜ゴルフに必要な可動域と筋力(第2回・下肢編)〜

第1回・体幹編 では、「腰はほとんど回らない。回っているのは背中と股関節」というお話をしました。 今回はその 股関節 と、その下のひざ・足首を見ていきます。そして、いきなり衝撃的なデータから始めます。 スイング中、左の股関節は「持っている可動域を100%以上」使い切っています。 この記事のポイント ✅ ダウンスイングで、リード側(右打ちの左)の股関節は 使える可動域の84〜131% を使っています。余力がゼロの状態です ✅ ひざへの負担を左右していたのは、体の柔らかさではなく 足の幅と、切り返しで肩が流れるかどうか でした。つまり 構え方を変えるだけで、今日から負担を減らせます ✅ ヘッドスピードといちばん関係が強いのは ジャンプの力の出し方。重い重量より「素早く床を押す」ほうがゴルフ向きです 中高年ゴルファーの、ひざと股関節の実情 まず現状から。男性ゴルファー1,170名(平均55歳)の調査で、この1週間に不調のあった場所は—— 腰 37.3% 左ひざ 13.3%/右ひざ 11.0% 右股関節 9.7%/左股関節 8.5% 腰に次いで多いのが、ひざと股関節です。しかも 左ひざが右ひざより多い 。ここに、ゴルフという競技の特徴がはっきり出ています。 股関節は、左右でまったく違う仕事をしている 女子大学ゴルファー15名のスイングを、可動域の実測値と照らし合わせて分析した研究があります(米国の理学療法専門誌, 2010年)。「その人が持っている可動域のうち、スイング中に何%を使っているか」を計算したものです。 結果はこうでした(右打ちの場合)。 バックスイング ダウンスイング 右(トレイル側)の股関節 内側にひねる力の20〜25%だけ使用 外側にひねる力の34〜37%だけ使用 左(リード側)の股関節 外側にひねる力の50〜75%を使用 内側にひねる力の84〜131%を使用 右の股関節はまだ余裕たっぷり。ところが 左の股関節は、持っているものを使い切って、さらに超えている のです。 あなた 100%を超えるって、どういうことですか? Torapon 落ち着いて寝た状態で測った可動域より、スイングという勢いのある動きのなかでは、もっと深く回っている ということです。つまり、左の股関節には余力がない。ここが硬い人は、足りない分をどこかで補うしかありません。その「どこか」が、たいてい腰なんです。 腰が痛い人は、左の股関節が約10度回らない これも実際に測られています。 アマチュアゴルファー64名を、腰痛の経験がある28名 と ない36名 に分け、年齢・身長・ゴルフ歴・ラウンド数までそろえて比較した研究です(英国の理学療法スポーツ誌, 2009年)。 左(リード側)の股関節を内側にひねる可動域 腰痛のある人:21.1度 腰痛のない人:31.1度 その差、およそ10度。 右側の股関節や、外へひねる動きには差がありませんでした。 ここで大事なことを付け加えます。この研究の著者自身が「因果関係は示せていない」とはっきり書いています。 さらに、ケガのないエリートゴルファー41名を6か月追いかけた別の研究では、股関節の左右差から腰痛の発生を予測することはできませんでした(南アフリカの理学療法誌, 2023年)。 あなた つまり、股関節が硬いから腰が痛くなる、とは言い切れないんですね。 ...

August 9, 2026 · 2 分
フォロースルーで左肩と左手首に負担がかかる様子を描いたゴルファーのイラスト

傷むのは、いつも「左」だった 〜ゴルフに必要な可動域と筋力(第3回・上肢編)〜

ヨーロピアンツアーの選手128名に、手首の障害について聞いた調査があります(英国スポーツ医学誌, 2013年)。30%が手首を痛めていました。 そして、その内訳がこうでした。 小指側の障害の87%、親指側の障害の100%が、リード側(右打ちなら左)の手首。 シリーズ最終回は上肢編。肩・ひじ・手首を見ていきます。テーマは 「なぜ左ばかり傷むのか」 、そして 「体を変えずに助かる方法はあるのか」 です。 この記事のポイント ✅ ゴルフのケガは リード側(右打ちなら左)に集中 します。肩の痛みの66%、手首の障害の大半が左側です ✅ ネットでよく見る「ゴルファーの肩は内側に回りにくくなる」という説は、実測では確認されませんでした ✅ グリップやシャフトを替えるだけで、前腕の筋肉の働きが下がる という研究があります。体を変えなくても、負担は減らせます リード側に、ケガが集まる 第1回 で腰、第2回 で股関節とひざを見てきました。そこでも「左が多い」という話が出てきましたが、上半身ではそれがもっとはっきりします。 理由はシンプルで、右打ちのスイングでは、左腕がクラブを引っぱり、インパクトの衝撃を最初に受け止める側 だからです。右腕は押す側、左腕は支える側。役割がまったく違います。 肩:左肩はスイング中、126度もひねられている 男性アマチュアゴルファーの肩の動きを立体的に測った研究があります(米国整形外科スポーツ理学療法誌, 2003年)。 バックスイングのトップ で、左肩が体の前を横切る角度(水平内転)は、最大で126度 に達していました。腕を胸の前で組む動きの、はるかに深いところまで持っていかれているということです。 トップで左腕が胸を横切る、あの形です。左肩が、可動域のぎりぎりまで引き伸ばされる瞬間 がここにあります。 同じ研究に、中高年の方にとって大事なデータがあります。18〜24歳のグループと、50〜86歳のグループの比較 です。 高齢グループは、肩を上げる動きを 約15%少なく しか使っていない 肩を外へひねる動きを 約30%少なく しか使っていない トップでの右肩の外ひねりは、シニアのほうが38度も少ない あなた 38度って、かなり大きい差ですね。トップが浅くなるのは、そのせいですか。 Torapon かなり関係していると思います。ただ これは横断研究——若い人と年配の人を「比べた」だけ で、同じ人を追いかけたわけではありません。「年をとると必ずこうなる」とまでは言えません。それに第1回でお話ししたとおり、トップが浅いこと自体は、飛距離とは直結していません 。がっかりしなくて大丈夫です。 ネットでよく見る「肩の内旋制限」は、見つかりませんでした 野球のピッチャーには、投げる側の肩が内側に回りにくくなる現象(GIRD)が知られています。これをゴルフに当てはめた記事をよく見かけますが—— エリート男性ゴルファー24名の肩を実際に測った研究では、左肩と右肩で、外ひねり・内ひねり・合計のどれにも差がありませんでした(米国の理学療法専門誌, 2008年)。 左肩 右肩 外へひねる 90.3度 91.0度 内へひねる 51.8度 50.1度 合計 142.1度 141.2度 きれいなくらい、差がありません。著者は「24名の予備的な研究であり、年齢などの要因が影響を隠している可能性もある」と慎重に書いていますが、少なくとも「ゴルファーの肩は野球の投手と同じように変形する」という話には、根拠が乏しい ということです。 練習しすぎると、左肩の腱板が傷む 一方で、中高年アマチュアにとって見過ごせないデータもあります。 ...

August 10, 2026 · 2 分
力強くクラブを振り抜くシニアゴルファーのイラスト

落ちたのは「力」ではなく「速さ」だった 〜飛距離を生む「速筋」の科学〜

前回の「可動域と筋力 」3部作の最後に、こう書きました。 飛距離を生んでいたのは、柔らかさではなく「素早く力を出す能力」のほうでした。 書きながら、これは宿題を残したな、と思っていました。じゃあその「素早く力を出す能力」とは、体の中の何なのか。どうすれば取り戻せるのか。今回はそこを、まっすぐ書きます。 先に結論をお伝えします。年齢とともに飛ばなくなるのは、力が落ちたからではありません。速さが落ちたからです。 そして落ちた速さは、重いものを持ち上げる練習では戻りません。 この記事のポイント ✅ 筋肉には「速い係」と「遅い係」があり、年齢で減るのは、ほぼ速い係だけ です。20歳から80歳までに、遅い係が1〜25%の減少なのに対し、速い係は20〜50% 減ります ✅ ダウンスイングは およそ0.2〜0.3秒。ところが人が最大の力を出しきるには0.3秒以上かかります。つまりゴルフのスイングは、「いちばん強い力」が間に合わない動き です ✅ 速い係のスイッチが入るかどうかは、重さではなく「速く動かそうとする気持ち」 で決まります。だから軽い負荷でも、速筋は鍛えられます 「力はあるのに、飛ばない」の正体 こんな経験はないでしょうか。 昔と比べて、特に力が弱くなった感じはしない。買い物袋も持てるし、階段も上がれる。なのに、ドライバーだけが明らかに飛ばなくなった。 これは気のせいでも、技術の衰えでもありません。体の中で、実際にそういうことが起きています。 筋肉は一種類ではなく、大きく2つの係に分かれています。 遅筋(ちきん/タイプI線維)=「持久の係」 ゆっくり、長く働き続けるのが得意。歩く、立っている、姿勢を保つ、といった仕事を担当します。 速筋(そっきん/タイプII線維)=「瞬発の係」 一瞬で大きな力を出すのが得意。跳ぶ、投げる、ダッシュする、そしてクラブを振る。こちらの担当です。 買い物袋を持つのも階段を上がるのも、実は「持久の係」の仕事です。だから日常生活では衰えに気づきにくい。ところがスイングは、ほぼ全部が「瞬発の係」の仕事 です。 あなた 言われてみれば……。日常で困っていることは何もないんです。ゴルフだけなんですよ、落ちたのを感じるのは。 Torapon それが自然なんです。ゴルフは、日常生活でいちばん使わない側の筋肉を全力で使うスポーツ ですから。逆に言うと、ゴルフは体の衰えにいちばん早く気づける場所でもあります。 年齢で減るのは、速い係「だけ」 ここが今日いちばん知っていただきたいところです。 加齢による筋肉の衰えは、全体が均等に細るのではありません。 太ももの筋肉(外側広筋)を20歳から80歳まで比べた古典的な研究では、筋肉全体の断面積が約40% 小さくなっていました。ところがその中身を線維の種類ごとに見ると、減り方がまったく違いました。 複数の研究をまとめると—— 遅筋(持久の係)の細り方 … 1〜25% 速筋(瞬発の係)の細り方 … 20〜50% つまり、歳を重ねて失われるのは、ほぼ「速さ」の部分 ということです。 もうひとつ、印象的な数字があります。研究では、筋力の落ち方は、筋肉の量の落ち方より2〜5倍も速い と報告されています。鏡を見て「そんなに細くなっていないけどな」と思っても、出せる力はそれよりずっと速く落ちている、ということです。 そして、力よりもさらに先に落ちるのがパワー です。パワーとは、力の大きさに、動きの速さを掛け合わせたもの をいいます。 同じ重さを持ち上げられる2人でも、サッと軽々と持ち上げる人と、うんうん言いながらゆっくり上げる人がいます。この差がパワー です。 そして研究では、このパワーが低い人ほど、その後に歩く力が落ちたり、入院したりしやすい ことが分かっています。筋肉の太さや握力よりも、パワーのほうが、その人のこの先をよく言い当てていました。 あなた 細くなっていないのに力は落ちていて、その力よりさらに速さが先に落ちている……。順番があるんですね。 Torapon 順番があります。「速さ」→「力」→「太さ」の順に失われていく と考えてください。だから飛距離は、体つきが変わる前に落ち始めるんです。裏を返せば、いちばん先に手を打つべきは「速さ」 ということでもあります。 ゴルフのスイングは「最大の力」が間に合わない ここからが、ゴルフならではの話です。 トップから切り返して、ボールに当たるまで。このダウンスイングにかかる時間は、研究でおよそ0.2〜0.3秒 と測られています。まばたきよりも短い時間です。 一方で、人間の体が最大の力を出しきるまでには、0.3秒以上かかる と言われています。 ...

August 16, 2026 · 2 分
リンクスコースで振り抜いた女子ゴルファーの後ろ姿のイラスト

15キロやせて、メジャーで勝った 〜桑木志帆選手の体づくり(前編・生活とトレーニング)〜

2026年8月2日。イングランドのロイヤルリザム&セントアンズで行われた AIG全英女子オープン で、桑木志帆選手(23歳) がプレーオフを制し、メジャー初優勝を果たしました。日本勢としては2年連続、7人目の女子メジャー制覇です。 このニュースを、私は理学療法士としてずいぶん違う角度から見ていました。というのも、優勝の背景に 「1年で13〜15キロの減量」 があり、しかもその狙いが 飛距離ではなかった からです。 彼女が体重を落とした理由は、こうでした。 膝と腰への負担を減らすため。 これは、当ブログがずっと書いてきたことと、まったく同じ考え方です。今回は前編として、桑木選手が1年かけて何をしたのか を、体の専門家の目で読み解いてみます。 この記事のポイント ✅ きっかけは「ズボンのボタンが弾けた」こと。減量の狙いは飛距離ではなく 膝と腰を守ること でした ✅ 体重1キロの差は、膝にとっては 歩くだけで約3キロ、階段では4〜7キロ分 の差になります。15キロなら—— ✅ やったことは特別ではありません。アプリでカロリーを記録する/揚げ物とジュースを控える/コーヒーはブラック。それだけです 目次 きっかけは「ズボンのボタン」だった 狙いは飛距離ではなく、膝と腰だった やったこと、やめたこと 前傾姿勢が崩れない体をつくる 勝因のもうひとつは「準備」だった 私たちが真似できること おわりに きっかけは「ズボンのボタン」だった まず、この話がいいなと思うのは、始まりがまったく格好よくないところです。 優勝後の会見で、桑木選手はこう明かしています。 「1回、ズボンのボタンが弾けて『あっ、これやばい』と思ったので、やせようと決意しました」 メジャーチャンピオンの減量が、ズボンのボタンから始まっている。ここに、私はとても勇気づけられました。きっかけなんて、その程度でいい ということだからです。 さらに興味深いのは、この減量が 専属トレーナーに相談せずに、自分の判断で始められた ということ。桑木選手は2023年5月から小楠和寿トレーナーと契約していますが、減量そのものは「自分自身で決めてやっています」と話しています。 あなた プロなのに、トレーナーさんに相談せずに減量したんですか? 少し意外です。 Torapon 私も驚きました。ただ、自分の体の変化に自分で気づいて、自分で決めた というのは、じつは長続きの条件でもあります。人から言われて始めたことは、たいてい途中でやめてしまいますから。 狙いは飛距離ではなく、膝と腰だった ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。 報道によれば、桑木選手が減量に取り組んだ狙いは 膝や腰への負担を軽くすること でした。飛距離を伸ばすためではありません。 体重1キロは、膝にとって何キロ分か 体重が膝にかける負担は、体重そのものではありません。歩いたり階段を上ったりするとき、膝には体重の何倍もの力がかかります。 よく言われている目安が、これです。 動作 膝にかかる力 体重1キロ減ると 平地を歩く 体重の約3倍 約3キロ分 軽くなる 階段の昇り降り 体重の約4〜7倍 約4〜7キロ分 軽くなる では、桑木選手の15キロは、どうなるでしょうか。 平地を歩くだけで、およそ45キロ分。階段では、60〜100キロ分。 膝にとっては、大人ひとり分の荷物を下ろした ようなものです。ゴルフは1ラウンドで数キロ歩き、傾斜を上り下りするスポーツですから、この差は4日間の試合で効いてきます。 ...

August 17, 2026 · 1 分
グリーン上でパッティングのラインを読む女子ゴルファーのイラスト

飛距離は20位。それでもメジャーで勝てた 〜桑木志帆選手の体づくり(後編・数字とパット)〜

前編では、桑木志帆選手が 1年で15キロやせた こと、その狙いが飛距離ではなく 膝と腰を守ること だったことをご紹介しました。 👉 前編をまだの方はこちらから 15キロやせて、メジャーで勝った 今回は後編です。彼女の 2025年シーズンの成績表 を、そのまま見てみましょう。 ひとつだけ、先に言わせてください。この表を見たとき、私は思わず声が出ました。メジャーチャンピオンの飛距離が、20位だったから です。 この記事のポイント ✅ ドライビングディスタンスは 20位。でもパーオン率は 4位 でした ✅ 飛ばす人が勝つのではなく、狙った場所に運べる人 が勝っていました ✅ パットの練習は、道具がなくてもできます。左手だけの片手打ち、3メートル から 目次 2025年シーズンの成績表 飛距離20位が意味すること いちばん凄いのはパーオン率4位 パットは「左手」で決まる フェースの向きを、目で見る 頭が動いていないか、確かめる 私たちが真似できること おわりに 2025年シーズンの成績表 まずは数字を並べます。日本女子ツアーでの、2025年シーズンの成績です。 項目 数値 順位 パーオン率 73.4% 4位 平均バーディ数 3.71 5位 パーブレーク率 20.7% 5位 平均ストローク 70.7 6位 パーセーブ率 87.4% 8位 平均パット数 1.79 11位 リカバリー率 65.5% 11位 フェアウェイキープ率 72.9% 14位 ドライビングディスタンス 246ヤード 20位 サンドセーブ率 40.6% 54位 賞金ランキング10位、メルセデスランキング9位、トップ10入り15回。 ...

August 19, 2026 · 2 分
ゴルフバッグを置いて、ダンベルを手に取るシニアゴルファーのイラスト

数字はよかった。それでも「効いた」とは言えなかった 〜5,074人を4年追った、ゴルフと認知症の研究〜

姉妹サイトの健康ブログで、少し前にこんな記事を書きました。 「ゴルフを続けている人は、認知機能が下がっていた割合が低かった」(4,575人の研究)。 書いた本人としては、うれしい結果でした。ゴルフを続ける理由が、また一つ増えたと思ったからです。 ところがその直後に、日本から別の研究が出ました。5,074人を4年間追いかけた研究です。そこでは、ゴルフをしている人のほうが認知症になりにくい、とは言い切れませんでした。 正直に言うと、最初にこの結果を見たときは困りました。でも中身をよく読んでいくと、困るどころか、いちばん勉強になる論文でした。今日はそれを、数字ごと共有します。 この記事のポイント ✅ 生の数字では、ゴルフをしている人の認知症は2.5%。何もしていない人の10.9%より、はっきり低いところにいました ✅ ところが年齢や学歴などの条件をそろえて計算し直すと 0.48 になりました。これは「何も運動していない人を1.00としたとき、ゴルフをしている人は0.48」という意味です。ただし答えのありうる幅が0.22〜1.04で、上が1.00を超えているため、「変わらない」可能性も消せませんでした ✅ 最後まで残ったのは ゲートボールと筋力トレーニング の2つ。ただし筋トレのほうは、筋トレをしていた193人のうち、認知症になったのが3人だけという、とても少ない人数の上に立った数字です 目次 どんな研究だったのか この記事に出てくる数字の読み方 生の数字を、まず見てください なぜ「効いた」と言えなかったのか 筋トレの数字も、同じ弱さを持っています それでも、持ち帰れること ゴルフに、何を足すか 前回の記事との答え合わせ おわりに どんな研究だったのか 筑波大学などのグループが、2026年8月に『Geriatrics & Gerontology International』という老年医学の専門誌に発表した研究です。 対象は 茨城県笠間市に住む65歳以上の5,074人 平均年齢は 73.0歳、女性が52.3% 2017年に「どんな運動をしていますか」と郵送で調査 そこから 4年間 追いかけて、認知症になったかどうかを調べた 期間中に 430人(8.5%) が認知症になった 聞いた運動は17種類。そのうち 参加者が150人以上いた5種類(体操・ウォーキング・ゲートボール・ゴルフ・筋力トレーニング)を、何も運動していない人たちと比べています。 ここが大事なところで、比較の相手は「運動していない人」 です。「ゴルフとウォーキング、どっちが上か」を比べた研究ではありません。 この記事に出てくる数字の読み方 ここから「0.48」のような数字が出てきます。3つだけ覚えていただければ、あとは全部読めます。 ① 1.00が「何もしていない人と同じ」という意味 何も運動していない人を1.00として、その運動をしている人が認知症になりやすいかどうかを並べた数字です。1.00より小さいほど、なりにくい。0.50なら「なりやすさが半分」、0.25なら「4分の1」ということになります。 ② カッコの中は「答えのありそうな範囲」 たとえば0.48(0.22〜1.04)と書いてあったら、本当のところは0.22から1.04のどこかにありそう、という意味です。ぴったり0.48だと分かったわけではありません。 ③ その範囲が1.00をまたいでいたら「判定できず」 範囲の中に1.00が入っているということは、「何もしていない人と同じかもしれない」という可能性が残っているということです。そのため「効いた」とは言い切れない、という扱いになります。 そして、この範囲の広さを決めているのが 認知症になった人の数 です。その人数が少ないほど範囲は広がり、1.00をまたぎやすくなります。 ここが、今日いちばんの山場です。 生の数字を、まず見てください 統計の話に入る前に、手を加えていない生の数字を見ていただきます。 運動の種類 人数 認知症になった人 割合 何もしていない 1,954人 212人 10.9% 体操 2,357人 177人 7.5% ウォーキング 1,559人 105人 6.7% ゲートボール 385人 29人 7.5% ゴルフ 283人 7人 2.5% 筋力トレーニング 193人 3人 1.6% いかがでしょうか。 ...

August 23, 2026 · 2 分
練習場ではなくジムでトレーニングをするゴルファーのイラスト

プロは、すでにやっていた 〜101人の調査でわかった、コースの外の過ごし方〜

前回の記事で、こう書きました。 ゴルフは、歩いて・考えて・人と話す運動。足りていないとすれば、筋肉にしっかり力を出させる場面のほうかもしれない。 前回の記事はこちらです。 👉 数字はよかった。それでも「効いた」とは言えなかった 〜5,074人を4年追った、ゴルフと認知症の研究〜 書き終えてから、ふと思いました。では、本気でゴルフをやっている人たちは、実際どうしているのだろう。 練習場やコースの様子はよく目にしますが、その外で何をしているかは、あまり知られていません。 ちょうど、それを調べた調査がありました。アメリカの Hospital for Special Surgery(スポーツ整形で有名な病院です)のグループが、大学のトップ選手とツアープロ、合わせて101人に「コースの外で何をしているか」を聞いた調査です。2026年5月、リハビリテーション医学の専門誌『PM&R』に載りました。 結論から言うと、特別な裏技は、ひとつも出てきませんでした。 この記事のポイント ✅ 86.1%が、ゴルフのための筋トレをしていました。頻度は週2.9日。「打つ練習」とは別に、体をつくる時間を持っています ✅ スイングコーチ78.2%、トレーナー71.3%、スポーツ心理士が約半数。誰も一人でやっていません ✅ 意外だったのが睡眠。ツアープロのほうが、大学生より「6時間未満」の人が多い。そして、だからこそ睡眠の専門家に相談していました 目次 101人に、コースの外のことを聞いた ほとんどが、筋トレをしていた 誰も、一人でやっていない 3人に2人が、食事を変えている ツアープロほど、眠れていなかった ここは、正直に 私たちが真似できること おわりに 101人に、コースの外のことを聞いた まず、どんな人たちに聞いた調査なのかを押さえておきます。 101人(大学の競技者56人、ツアープロ45人) 平均年齢 25±8歳、男性が55% 競技歴は平均 4.1±3.5年 インターネットでのアンケート調査 平均25歳です。 私たちの多くとは、年齢も体力も違います。そのままそっくり真似できる内容ではありません。それでも読む価値があるのは、出てきた項目が、どれも特別なものではなかったからです。 ほとんどが、筋トレをしていた いちばん知りたかったところから。 101人のうち86.1%が、ゴルフのための筋力トレーニングをしていました。頻度は週2.9±2.0日です。 数字にすると、10人のうち8〜9人。やっていないほうが少数派ということになります。 そして頻度の「週2.9日」も、注目していただきたいところです。毎日ではありません。 週3回前後。これは、私たちがリハビリの現場で高齢の方にお願いする頻度と、ほとんど同じです。 あなた プロだから毎日みっちりやっているのかと思っていました。 Torapon 筋肉は、負荷をかけた後の休みの間に強くなります。だから毎日やればいいというものではないんです。週2〜3回というのは、プロでもアマチュアでも、高齢の方でも変わらない目安です。ここは安心して真似できるところですね。 前回の記事でご紹介した、日本の5,074人の研究で最後まで残ったのが筋力トレーニングでした。飛距離のためにも、体を長持ちさせるためにも、頭のためにも、同じところを指している。 私はここに、いちばん納得しました。 誰も、一人でやっていない 次の数字が、個人的にはいちばん考えさせられました。 誰と組んでいるか 割合 スイングコーチ 78.2% アスレティックトレーナー 71.3% スポーツ心理士 約50% 栄養の専門家 41.1% 睡眠の専門家 23.7% ほぼ全員が、誰かに見てもらっています。 スイングだけではありません。体、心、食事、睡眠。それぞれに専門の人がついているというのが、トップの世界の姿でした。 アマチュアの私たちが、これを全部そろえるのは現実的ではありません。ただ、「自分の目だけでは見えないものがある」という前提は、真似できると思います。 自分のスイングを自分で見ることはできません。自分の体の左右差も、自分では分かりません。一度でいいので、誰かに見てもらう。 それだけで、何年も直らなかったことが5分で分かる、ということが本当にあります。 ...

August 24, 2026 · 1 分
ラウンド後半、疲れた様子でクラブを構えるゴルファーのイラスト

後半に崩れるのは、気のせいじゃなかった 〜お腹を疲れさせるだけでスイングが変わった、という研究〜

前半は、そこそこ回れた。 なのに14番あたりから、急にダフりはじめる。同じように振っているつもりなのに、球が上がらない。おかしいな、と思いながら18番まで来てしまう。 「集中力が切れたのかな」で片づけていませんか。 私もそう思っていました。ところが2026年、慶應義塾大学のグループが出した研究を読んで、見方が変わりました。技術でも、集中力でもなく、「疲れそのもの」がスイングの形を変えていたのです。 この記事のポイント ✅ お腹まわりの筋肉を疲れさせただけで、スイング中に体を支える力が落ちました。腕も技術も、何も変えていないのにです ✅ しかも疲れは、パターの練習だけでも起きます。「激しく振ったから疲れる」とはかぎりません ✅ だから鍛えたいのは、体幹の「力の強さ」ではなく「持たせる力」です。10秒ずつでいい運動を3つ、最後にご紹介します 体を「動く範囲」から見た話は、こちらの3部作にまとめています。今回は「持久力」の話なので、まったく別の切り口です。 👉 可動域と筋力の3部作(第1回) 目次 お腹を疲れさせてから、7番アイアンを打ってもらった 正直に書いておきたい、この研究の弱いところ パターの練習でも、スイングは変わる やっかいなのは、疲れが自分では分からないこと そして疲れは、腰の痛みの前ぶれかもしれない だから鍛えるのは「強さ」ではなく「持たせる力」 体幹の持久力を育てる3つの運動 ラウンド当日にできること こんなときは専門家に相談を おわりに 参考にした情報 お腹を疲れさせてから、7番アイアンを打ってもらった 研究のやり方は、とてもはっきりしています。 健康なゴルファー11人に、まず7番アイアンで打ってもらい、スイングを細かく計測します。そのあとプランク(うつ伏せで前腕とつま先で体を支える、あの運動です)でお腹まわりの筋肉だけを疲れさせて、もう一度同じように打ってもらう。 腕の筋肉は疲れさせていません。クラブも同じ。技術指導も一切なし。変えたのは「お腹が疲れているかどうか」だけです。 それでスイングは変わるのか。変わりました。 研究チームが測ったのは、スイングのあいだに上半身が前後へ倒れたり起きたりする振れ幅です。同じ人の、疲れる前と疲れたあとを比べています。 上半身が前後に動いた振れ幅 疲れる前 43.4度 疲れたあと 47.9度 約4.5度ぶん、ブレが大きくなりました。 統計的にも、偶然とは考えにくい差でした。 あなた 4.5度と言われても、大きいのか小さいのか分かりません……。 Torapon そうですよね。順番にお話しします。まず、この4.5度というのは「上半身が前後に傾く角度」のことです。疲れる前より、上半身が4.5度ぶん余分に動いてしまった、ということですね。 あなた 上半身が4.5度動くと、どうなるんですか? Torapon 腰を支点にして上半身が4.5度傾くと、いちばん上にある頭は、5〜6センチ動きます(腰から頭までを70センチほどとして計算した、おおよその目安です)。 ゴルフでは、頭の高さが変わると、クラブが地面に当たる場所も変わります。5センチ動けば、ダフリやトップが出てもおかしくありません。「同じように振っているのに当たらない」の正体は、これかもしれないわけですね。 ただし、ここも正直に書いておきます。人による差はかなり大きく(プラスマイナス13度前後)、全員が同じだけブレたわけではありません。 さらに、下半身のかたさにも変化が出ていました。 お腹が疲れると、その分を脚が肩代わりしようとするのだと考えられます。 ここが大事なところです。疲れているのはお腹なのに、変わるのは体全体。 上から下まで、つながっているのですね。 正直に書いておきたい、この研究の弱いところ 先に書いておきます。この研究、参加者は11人だけです。しかも平均20歳の若い方たち。 ですから「ゴルファー全員がこうなる」と言い切れる段階ではありません。「そういう傾向がありそうだ」と分かった段階、というのが正確なところです。 それでも私がこの研究を取り上げたいと思ったのは、やり方がきれいだからです。疲れ以外の条件をすべてそろえたうえで比べているので、「疲れがスイングを変えた」という筋道が、はっきり見えます。 パターの練習でも、スイングは変わる 「じゃあ、後半バテないように体力をつければいいんだな」 そう思われたかもしれません。ただ、話はもう少し込み入っています。 熟練した男性ゴルファーを対象にした別の研究で、こんなことが分かっています。パターの練習をしたあとにフルスイングを計測したところ、 体の各部位が動くスピードのピークが落ちた スイング全体にかかる時間が長くなった ダウンスイングでの骨盤と胸のひねりの量が減った パターです。走ったわけでも、100球打ったわけでもありません。 あなた パターで疲れるんですか? いちばん楽そうなのに……。 Torapon これ、意外ですよね。でも考えてみてください。パターのとき、前かがみの姿勢のまま、じっと止まっているでしょう。動かないぶん、背中とお腹の筋肉はずっと働きっぱなしなんです。疲れとは「激しく動くこと」だけで起きるものではない、ということですね。 ...

August 26, 2026 · 2 分
朝のコースでストレッチをする女性ゴルファーのイラスト

「あと10ヤード」をあきらめたら、メジャーに勝った 〜山下美夢有選手に学ぶ(前編・足さない選択)〜

飛ばしたい。 ゴルフをしている人なら、誰でも一度は思うことだと思います。あと10ヤード出れば、あの池を越えられるのに。あと10ヤード出れば、2打目が7番アイアンで届くのに。 その「あと10ヤード」を本気で取りにいって、やめた選手がいます。 身長150センチ。2026年8月、アメリカのツアーで2位に9打差をつけて優勝した山下美夢有選手です。 この記事のポイント ✅ 米ツアーに移った当初、「あと10ヤードほしい」と考えてトレーニングの強度を上げました。けれど、そこから成績は上がりませんでした ✅ 元のやり方に戻したのが、全英女子オープンの約3週間前。その大会でメジャー初優勝を果たします ✅ 朝の準備の順番が見事です。ほぐす → 確かめる → 軽く入れる。この3段階は、そのまま真似できます 「あと10ヤードほしい」と思った 山下選手は日本ツアーで賞金女王になり、2025年からアメリカを主戦場にしました。 そこで感じたのが、飛距離の差だったようです。「10ヤードくらい足したい」。そう考えて、プレースタイルの見直しを検討し、トレーニングの強度も上げました。 体を大きくして、飛距離を足す。理屈としては、まっとうな判断だと思います。 あなた 私も同じことを考えると思います。それで、どうなったんですか? Torapon 本人の言葉が、そのまま答えになっています。「そこから成績が上がることはなかった」。かなり率直な言い方ですよね。 3週間前に、元に戻した 転機は2025年の夏でした。 全英女子オープンの約3週間前、7月のエビアン選手権の前に、山下選手は日本ツアーで結果を出していた元のやり方に戻します。 お父さん(コーチでもあります)の助言は、こうだったと報じられています。打ち方そのものより、スコアとショットづくりを優先しなさい。 そして迎えた2025年8月のAIG全英女子オープンで、メジャー初優勝。 さらに2026年8月には、カナダで開かれたCPKC女子オープンを、初日から一度も首位を譲らずに制しました。4日間で257ストローク。これはツアーの72ホール最少スコア記録に並ぶ数字です。 数字を見ると、戻して正解だったと分かる 2026年シーズンの公式記録です。 項目 順位 平均飛距離(252.34ヤード) 147位 フェアウェイキープ率(79.31%) 3位 平均ストローク(69.91) 3位 ※フェアウェイキープ率は、ティーショットがフェアウェイに止まった割合のことです。 飛距離は147位。ほとんど下のほうです。それで平均ストロークは3位にいます。 あなた 飛距離147位で、スコアは3位……。どういうことですか? Torapon 飛ばすところ以外が、全部ずば抜けているということです。この中身は面白いので、後編でじっくり見ていきます。ここでは「10ヤード足さなくても勝てた」という事実だけ受け取ってください。 理学療法士として、この話にはうなずくところがあります。体を変えるのは、時間もかかるし、うまくいくとはかぎりません。 それより、いま持っている体で何ができるかを詰めたほうが、近道になることがあるのです。 朝のルーティンが、とてもきれいです 9打差で勝ったあの大会で、LPGA公式が山下選手の朝の準備を紹介しました。順番はこうです。 股関節まわりのストレッチ(下半身) 肩まわりのストレッチ(上半身) 上体をひねって、体幹の状態を確認する チューブ・バンドを使う メディシンボールを軽く投げる 肩まわりのマッサージ 私がいちばん見事だと思ったのは、3番目です。 1・2でほぐして、3で「今日の体はどうか」を確かめて、4・5で軽く力を入れていく。ほぐす → 確かめる → 軽く入れる。この順番になっています。 多くのアマチュアの方は、ここが逆になりがちです。いきなり素振りをして、いきなり打ちはじめる。確かめる工程が抜けていることが多いのですね。 あなた 「確かめる」って、何を確かめればいいんですか? Torapon 正直に言いますと、山下選手が何を見ているのかまでは報道されていません。ですので、ここからは私の考えです。 見るのは「いつもどおりに動かせるか」でいいと思います。立って上体を左右にひねり、回りやすいほうと、回りにくいほうがないか。それだけです。左右で違う日は、無理に大きく振らない。それが分かるだけで、ケガの入り口をひとつ減らせます。 私たちが真似できること そのまま真似するのは大変ですが、順番だけなら今日からできます。 ...

August 28, 2026 · 1 分